● 地域の現状・課題
- 福島町は北海道の南西部、渡島半島南端の津軽海峡側に面した、北海道では比較的温暖な漁業の町である。
- 地域の人口は約4千人である。
- 活動組織が属する、福島吉岡漁協は平成10年に隣接した組合同士が合併し、令和元年度の組合員数は168名、販売取扱高は12億円の組織である。
- 主な漁業はイカ釣り、コンブ養殖漁業、マグロ延縄等であり、岩礁地帯では昔ながらのウニ・アワビ等採介藻漁業が行われている。
- しかし、近年、海水温の上昇に伴い、磯場や浅海域に磯焼けが広がってコンブ・ウニ・アワビなどの資源量が激減しているため、対策が急務となっていた。
- そのため、自分たちでできることを検討した結果、ほとんどの漁業者が携わるウニ・アワビ等磯回り漁業に影響を及ぼす藻場対策に地域全体で取り組むべく平成28年度に関係者24名の賛同を得て、活動組織「福島町吉岡藻場保全会」を立ち上げた。
- 活動が連帯感を醸成して地域に活力を生み、環境保全や地域振興にも寄与できるという認識が共有されることも期待された。

活動位置図・協定海域(黒く囲った部分)
● 活動の内容
- 藻場の保全や藻場に生息するアワビ等の地域資源の維持回復を目的に活動を始めた。
- 主な活動は、チェーン曳による岩盤清掃・ダイバー等によるウニの密度管理・コンブの種苗投入・モニタリングである。

鉄製チェーンを暖簾状に組んで、海底を船外機で曳航する

ダイバーによるウニの回収・移殖によって、ウニの分布の密度調整をする

コンブ種苗を土俵に取り付け、海底に設置した
● 活動の効果
- 積極的な活動により、消失しかかった藻場の再生のきっかけを若干ながら、つかむことが出来た。
- 活動が活発になるにつれて交流や情報交換が進み、課題へのアイデアも提案されるようになり、技術改良が進んだ。また、活動が地域の一体感を生み出し、地域活性化に寄与した。

コンブ種苗から発芽・生育が見られた

磯焼け地帯にささやかながら緑が戻りつつある

団結力を見せた「福島町吉岡藻場保全会」の面々