● 地域の現状・課題
- 知内町は北海道の南西部、渡島半島の津軽海峡側に面した、北海道では比較的温暖な農業と漁業の町である。
- 地域の人口は約4千人である。
- 活動組織が属する上磯郡漁協は平成16年に広域合併し、令和元年度の組合員数は181名、販売取扱高は11億円の組織である。
- 主な漁業は定置網・イカ釣り、ウニ・コンブ・カキ・ワカメ・ホタテ養殖漁業であり、知内町の岩礁地帯では、昔ながらのウニ・アワビ等採介藻漁業が行われている。
- しかし、近年、海水温の上昇に伴い、磯場や浅海域に磯焼けが広がって藻場が後退し、コンブ・ウニ・アワビなどの資源量が激減したため漁業経営を圧迫しており、これらの対策が急務となっていた。
- そのため、自分たちでできることを検討した結果、ほとんどの漁業者が携わるウニ・アワビ等磯回り漁業に影響を及ぼしている磯焼けへの対策に地域全体で取り組むべく、平成28年度に関係者75名の賛同を得て、活動組織「知内藻場保全活動組織」を立ち上げた。
- 平成29年からは、海洋汚染や藻場の阻害要因となる漂流・漂着・堆積物の処理活動も行っている。
- 活動を実施することで連帯感を醸成し、地域に活力を生み、環境保全や地域振興にも寄与できるとの認識が共有されることが期待された。

活動位置図・協定海域(青点~藻場保全活動区域、黄色~堆積物処理)
● 活動の内容
- 藻場の保全や藻場の地域資源の維持回復を目的に活動を始めた。
- 主な活動は、コンブ母藻の設置・コンブ種苗の投入・ウニの密度管理・岩盤清掃・モニタリング、及び漂着等の堆積物の処理活動である。

コンブ母藻を袋に入れ、重石をつないで、海藻が衰退した海底に設置

コンブ種苗を発泡テープにホッチキス止めにし、重りにつないで、海中設置

漂着堆積物の回収引き上げ共同作業 (空桁でポイントを曳航・取り上げ)
● 活動の効果
- 積極的な活動により、後退気味だった藻場の維持・保全を若干ながらも図ることが出来た。
- 活動が活発になるにつれて交流や情報交換が進み、課題に対しての発泡テープも提案されるようになり、技術改良が進んだ。また、地域の一体感も生み出し、地域活性化に寄与した。

コンブの藻場(小群落)が形成された

活動の継続により海藻被度は若干増加傾向

漂流堆積物の海中の様子