えさんの海を豊かにする会(北海道函館市)

● 活動項目

藻場の保全

● 組織の構成

漁業者、えさん漁協(412名)

● 地域の現状・課題

  • 函館市恵山・椴法華地区は北海道の南西部、渡島半島の津軽海峡東口に面した活火山である恵山の裾野に広がる漁村地帯である。
  • 地域の人口は約4千人である。
  • 活動組織が属する、えさん漁協は平成17年に広域合併し、令和元年度の組合員数は451名、販売取扱高は25億円の組織である。
  • 主な漁業はイカ釣り・タラ延べ縄・定置・一本釣り、コンブ・ウニ採介藻漁業、コンブ養殖漁業である。
  • 近年、海水温の上昇に伴い、コンブの葉腐れや根腐れ、ウニのへい死、スルメイカ・サケ・タラなどの回遊性魚類の来遊量の減少など、海洋環境の急変が漁獲量の減少を招いており、漁業経営を圧迫するとともに、これらの対策が急務となっていた。
  • そのため、自分たちでできることを検討した結果、ほとんどの漁業者が携わるコンブ・ウニ等磯回り漁業に影響を及ぼす藻場対策に地域全体で取り組むべく平成28年度に関係者412名の賛同で活動組織「えさんの海を豊かにする会」を立ち上げることにした。
  • 活動は連帯感を醸成し、地域に活力を生み、環境保全や地域振興にも寄与できるとの認識が共有されることが期待される。

活動位置図・協定海域

● 活動の内容

  • 藻場の地域資源の維持・回復を図ることや、藻場の保全を図ることを目的に活動を始めた。
  • 主にコンブ母藻の設置・コンブ種苗の投入・岩盤清掃・モニタリング等の活動を行っている。

コンブ母藻と重石を水溶性袋に入れ海中設置

コンブ種苗をロープに挟み込み、海中設置

岩盤清掃(スガモ等雑草をネジリ竿で引抜除草)

● 活動の効果

  • 積極的な活動により、後退気味だった藻場の維持を若干ながらも図ることが出来た。
  • 会の活動が活発になるにつれて、交流や情報交換が進み、課題に対してのアイデアも提案されるようになり、技術改良が進んだ。また、会の活動が地域の一体感を生み出し、地域活性化に寄与した。

藻場におけるコンブ被度の経年変化

藻場保全対策による維持されたコンブ群落

種苗投入による新たに造成されたコンブ林

ウニは綱渡りが出来る