● 地域の現状・課題
- 三浦市松輪地区は、地先の岩礁域に大型褐藻類を主体とするアラメ、カジメ場が形成されている。本地区には黒潮以外に東京湾系水の流入があり、潮の流れの影響から、黒潮の影響を強く受ける相模湾沿岸に比べて水温が低い傾向がみられる。
- 葉山町地区は、海岸から連なる岩礁や沖合にある島周りに広がる岩礁に形成されるアラメ、カジメ場とともに、砂泥域にはアマモ場が形成され、多様な藻場が混在する海域である。
- しかし、上記2つの地区では、藻類が減少するなど、明らかな磯焼けが発生している海域があり、ここ数年で拡大している。
- 藻場の衰退要因としては、海水温の上昇や栄養塩類の減少など環境要因にも注視する必要があるが、ウニ類やアイゴなど食害生物の増加が顕著であることがあげられる。
- また、当海域は都心にも近く手軽に釣りが楽しめる地域である。近年釣り人口は減少傾向とは言え、釣り用具の残骸、特に海底に堆積しているエギ、鉛錘、テグス等の、海洋汚染等の原因となる漂流、漂着物、堆積物に悩まされている。

海底の様子

海底の様子

食害を受けた様子
● 活動の内容
【藻場の保全】
- 令和6年度より、神奈川県水産技術センターの指導・協力により、葉山町鐙摺港地先の海底面10m四方に早熟カジメの母藻1,200株を括り付けたロープを設置した。同様に、海底面10m四方にアカモクの母藻150株を括り付けたロープを設置した。
- 一方、食害生物の駆除(ウニ類)としては、ダイバーによる海中でのウニ潰しを継続実施中で、令和6年度は新たに技術サポートセンターであるスミリーフ㈱のウニバスターを活用した。
【漂流・漂着物・堆積物処理】
- 当活動組織発足当時より、釣りゴミ、漁具の回収は継続実施中で、大型漁具(網かご、ロープ)については、ほぼ回収出来ている。
- 陸からの釣りに好立地であり、釣り客の残す釣りゴミ(エギ、テグス、鉛錘)は絶えないため、引き続き回収を行う必要がある。

種苗ロープ

海底に設置した種苗ロープ

ウニバスターを持つダイバー

ウニバスター使用中の様子
● 活動の効果
- 令和7年1月末に設置した早熟カジメは2月末には約25cmに成長した。
- その後早熟カジメは、4月末には約1mまで成長を確認した。
- 令和7年度は、母藻設置場所をもう2か所増やして、合計4か所で行うことを計画している。
- 食害生物の駆除(ウニ類)としては、ウニバスターにより海中での作業効率が数段上がり20分間に約200個の駆除ができた。このとき、ダイバー自らのタンクとウニバスターをつなげるとより高効率だった。

モニタリングの様子

ウニバスター使用中の様子

ウニバスターにより破壊されたウニ