生花苗沼シジミ保存会(北海道大樹町)

● 活動項目

干潟等の保全

● 組織の構成

漁業者、大樹漁協、(株)マルマツ建設(55名)

● 地域の現状・課題

  • 生花苗沼は北海道十勝地域に位置する汽水湖である。
  • 湖内にはシジミが生息しており、その漁獲量はH7年の11トンをピークに減少し、平成19年以降は2トン前後と激減した。そこで、20年以降は年に1日のみの操業とし、21年度からは、ヤマトシジミ資源の回復を目的に当該組織を設立し、干潟の保全を図ることにした。
  • 生花苗沼で漁獲されるヤマトシジミは、国内でも最大級の大きさを誇るシジミである。干潟等の保全に加え、資源保護のために年に1回1日だけ沼口を開削し、漁獲を行っているユニークな資源である。

生花苗沼のシジミ

● 活動の内容

  • シジミ資源の回復を目指すため、まず本種の産卵場所の干潟でシジミを採取しないように保護区域を設定した。
  • 次に、湖内に分布する母貝を採取し、産卵場所である保護区域に移殖・放流。また、湖内に着底した稚貝を採取して、餌が豊富で生残・成長が良い湾奥に移植・放流する密度管理を行った。

母貝の採取・移殖

母貝の採取・移殖

稚貝の採取

稚貝の移殖

● 活動の効果

  • 湖内のクロロフィル量の調査により、シジミの大きさが日本最大クラスを誇る要因として、生花苗沼では1個体あたり摂餌可能な餌量が多いことがわかった。
  • 生花苗沼のシジミ漁獲量と保存会による稚貝移殖量の関係を見ると、H25以降500kg以上の稚貝放流を継続して行ったことで、H29,H30に成貝の漁獲量が約3tまで増加した。つまり、保存会による活動の効果がうかがえる結果となった。今後も活動を継続させ、かつてのシジミ資源の回復を実現させたい。

生花苗沼シジミの漁獲量と稚貝移植量の経年変化