● 地域の現状・課題
- 輪島地区は能登半島北部に位置し、日本海に面している。
- 伝統的な海女漁が有名であり、能登半島の北側約50kmの場所には「海女の島」として知られる舳倉島が、その中間には好漁場である七ツ島がある。
- 最近はアワビ・サザエなどが減少しており、その原因として藻場の衰退が指摘されている。
- 実際に海女からは七ツ島での磯焼けも報告され、海域の環境悪化が懸念された。
- そこで、海女をはじめとした漁業関係者や地域住民により「輪島の里海を守る会」を発足し、藻場の保全活動を行うことにした。
活動海域の様子
● 活動の内容
- 藻場の保全を目的に、①母藻の設置、②食害生物であるウニ類の除去、③浮遊・堆積物の除去(海岸清掃)を実施している。
- ①母藻の設置(4~6月頃)
ツルアラメを結束バンドによって平たい石に取り付け、その石を素潜りで岩陰に設置している。 - ②ウニ類の除去(9月頃)
素潜りによりウニ(ムラサキウニ)を除去しており、ウニは陸揚げし、ごみ処理場にて処分している。 - ③浮遊・堆積物の除去(9~11月頃)
海岸清掃を行い、漂着したプラスチックゴミなどを除去している。
母藻の設置(石に取り付けたツルアラメ)
除去した大量のウニ
海岸清掃
● 活動の効果
- ウニは低密度で管理されており(活動後の密度:0.0~0.3個体/㎡)、海藻の被度は60~100%で安定的に推移していた。
- 活動を行っていることで海藻類の被度は比較的高く、健全な藻場を維持することができている。
- 母藻設置したツルアラメについても、匍匐根の伸長や、新しい幼体の発芽・生長が見られ、経過は順調である。
- 今後も、環境異変などの発生に注意しながら活動を継続し、藻場の保全を図りたい。
- また、主に依頼して行っているモニタリング(潜水観察)を、構成員のみで行えるよう技術の向上にも努めたい。
安定的に形成された藻場(七ツ島)
匍匐根が伸長し幼体が出てきたツルアラメ母藻
箱メガネによる船上モニタリングに取り組む様子