● 地域の現状・課題
- 名倉川環境保全ネットワークが活動を行う河川は、愛知県を流れる矢作川の支流「根羽川」「名倉川」「段戸川」である。
- 各河川ともに、上流にダムはなく、水量は比較的自然の状態を保っている。また、過去の豪雨の影響で淵の減少などみられるが、他の河川に比べて河床も安定している。
- 安定した河川環境が残る河川には、アユやアマゴなど清流の魚が生息している。また、これら魚を対象に多くの釣り人が川を訪れている。
- 当ネットワークは、漁業者や地域住民が中心となり平成28年度に設立した組織である。目標は、豊かな清流を守り、現存する生物の生息環境を次世代に継承することである。
● 活動の内容
- 当ネットワークが現在行っている活動は、主に河川敷の清掃と河川環境の保全に係る学習会である。また、組織の主体である漁協では、鮎釣り体験やテンカラ講習会など川に触れ・楽しむイベントを積極的に行っている。
- 河川敷の清掃は、草刈りやゴミ拾いを行う。活動範囲が広いことから、年間10~20回程度、場所を変え活動を行っている。
- 学習会は、年間2~4回開催している。対象は、地元の子ども会やコミュニティ会議委員などの地域住民などで、アユ等の放流体験やその魚の生活史や生息環境について座学を行っている。
● 活動の効果
- 清掃活動の取組は、河川敷の景観が維持されることから、釣り人や住民の川への接近が容易になり、親水性の確保につながっている。
- 学習会については、毎年40名以上の参加があり、好評である。また、学習会後のアンケート調査結果では、「これからもアユが住めるきれいな川を守っていきたいと思う」とする回答が70%以上を占めており、河川環境の保全に対する意識の啓発が効果的に図れている。
- ここ3ヶ年の試験釣りによるアユのモニタリング調査では、本種の採捕量がH28年”0.40尾/人・時”、H29年”1.38尾/人・時”、H30年”1.85尾/人・時”と漸増しており、本種の生息環境が良好に保たれていると評価できた。今後も、引き続き活動を継続し、自然豊かな川を次世代に継承したいと考える。