上桂川を守る会(京都府京都市)

● 活動項目

内水面生態系の維持・保全・改善

● 組織の構成

漁業者、上桂川漁協、地域住民(46名)

● 地域の現状・課題

・上桂川は、丹波山地東端を水源とし、木津川や宇治川と合流して淀川へと注ぐ桂川の上流域にあたる京北地区(京都市右京区)での呼び名である。

・川は、アユ釣りの人気スポットで、府民だけでなく、府外からも多くの釣り人が訪れる。しかし、下流に建設されたダムにより、河川の連続性が大きく失われ、天然アユやウナギなどの遡上ができない状況となった。

・また、度重なる河川工事や山の荒廃による土砂の流入により、河川の多様性が減少し、在来のウグイやアマゴの生活、また放流アユの成育への悪影響が懸念されるようになった。

・こうした背景から、漁業者を主体とする活動組織を結成し、河川環境の保全、普及・啓発を進めることにした。

● 活動の内容

・当該組織では、土砂の堆積などでアマゴ等の産卵床となる河床環境が悪化していることから、産卵床の造成を行っている。

・また、川に親しむ機会が少なくなっている子どもたちを対象に、河川環境や生き物を学ぶ「川辺の子ども教室」を開催している。

・その他にも、各地のダム湖で陸封アユの事例をみることが多くなったことから、当該河川域でも陸封アユの調査や産卵場づくりを実施している。また、堰堤に簡易魚道を設置するなど活動は多岐にわたる。

アマゴ産卵床造成

アユ産卵場づくり(河床耕うん)

簡易魚道の設置

ウグイの放流

● 活動の効果

・産卵床の造成活動では、まだ指標となる卵の発見は無いが、引き続き活動を継続し、その効果を把握していきたい。

・また、川辺の子供教室は好評で、これまでに延べ453人に普及を行った。今後も川の魅力や河川環境の保全を普及・啓発していきたい。

・陸封アユの調査では、ダム湖で孵化したアユが3個体確認された。また、聞き取り調査では、アユ稚魚の群れが多数確認されていることから、引き続き調査を継続し、その実態を把握していく予定にしている。