● 地域の現状・課題
- 高砂市は兵庫県の南東部に位置し、瀬戸内海に面している。東播磨臨海工場地域に指定されており、干潟、藻場がなく稚魚の成育場所がない、また環境の変化などで水産資源が減少し続けている。
- 以前より行っていた水質改善のための、アサリ放流事業の拡大ができるということで、環境生態系保全事業にて機能発揮のための生物移植を開始した。
水産多面的機能発揮対策事業になった際に、耕うん、浮遊・堆積物の除去、保護区域の設定、教育・学習の一環として多面的機能の理解・増進を図る取組の項目を追加し、環境の改善のための取り組みを行っている。
● 活動の内容
- 機能発揮のための生物移植(アサリの放流):アサリを高砂市沿岸に放流し、水質改善をねらい個体数増加を目指している。
- 耕うん:海底を撹拌し海底の土壌改良を行う。
- 浮遊・堆積物の除去:海底のごみなどを除去する。
- 保護区域の設定:ノリ網を活用し藻場育成施設を設置することで稚魚の育成環境を整える。
- 多面的機能の理解・増進を図る取組(教育・学習):体験学習や料理教室、またDVDの映像を通じ、漁場や地球環境の保護について啓発を行う。
アサリ放流の様子
耕うんの様子
浮遊・堆積物の除去の様子
教育・学習の様子
● 活動の効果
- モニタリング調査結果から、増減はあるもののこの5ヶ年でも底生生物の個体数等は増えている。(0.15m2あたりの個体数:約175から約286)
- 漁業者も魚が増えてきていると感じている。
- 継続することで漁業者はもとより、啓発活動を通じて知識を得た人たちが、さらに理解を深め環境保全について意識を高めてくれている。
耕うん区における底生生物の個体数の推移
耕うん区における底生生物の湿重量の推移