益田川と海をつなぐ自然環境保全活動組織(島根県益田市)
● 地域の現状・課題
- 当組織の拠点は、島根県の西部に位置する”益田市”にある。
- 益田市には、水質日本一に複数回輝いた一級河川「高津川」が流れている一方で、県下で最も水質の悪い二級河川「益田川」が流れる。
- 益田川に面する海域の浅場は、日本海側で唯一のハマグリ(チョウセンハマグリ)漁場である。その資源の安定化のためには、益田川の下流域の環境や生態系の保全が求められる。
- しかし、益田川は、高津川に比べ住民の関心度が低く、生活排水の流入や河川へのゴミの投棄、ヨシ帯の未管理など複数の問題を抱えており、特にその影響を強く受ける下流域の改善が喫緊の課題となっている。
● 活動の内容
- 当組織は、ハマグリ漁等を行う”漁師”と河川で環境保全や環境教育等を行う”NPO法人”が協働して、平成25年度に設立した。
- 活動の目的は、「調べる」「実践する」「伝える」を柱に、益田川(下流域)の水環境と住民意識を改善することである。主な活動の内容は、以下のとおりである。
- ヨシ帯の管理:下流域に繁茂するヨシを刈り取り、健全なヨシ群落の形成を促す。また、群落の中に集積されたゴミを刈取後に一斉清掃等で回収し、下流域や海域の環境を保全する。
- フィールド学習:地元児童を対象に、水質検査や生物採集、ゴミ調査等の体験学習を行い、河川環境の保全に係る意識の啓発を図る。
- 上記の他にも、市民や子どもを交えたハマグリ稚貝密度調査、ウナギの石倉かご、一斉清掃、ハマグリ貝アート展などを展開している。
● 活動の効果
- ヨシの刈り取りを毎年行うことで、立ち枯れのない健全なヨシ群落の形成が維持されている。また、刈り取ったヨシは、畜産農家に無償で引き取ってもらい、餌料として有効活用してもらっている。
- ヨシの刈り取り後(冬季)を含めて、年3回、河川一斉清掃を行ってきたことで、益田川下流域のゴミの量(回収量)が減少傾向にあり、その効果がうかがえた。
- 当該組織の様々な取り組みは、広く一般に参加を呼びかけ行うことにしている。その結果、一斉清掃やその他調査活動に係わる団体が学校を含め12団体(H25年)から20団体(H30年)に増加し、地域一体となった取り組みが形成されるようになってきた。このことは、活動の大きな成果であり、今後も継続的に活動を展開していきたいと考える。