広島県東部アサリ協議会(尾道・松永地区)(広島県尾道市・福山市)

● 活動項目

干潟等の保全

● 組織の構成

漁業者、浦島漁協、尾三森林組合、広島県栽培漁業協会、NPO瀬戸内里海振興会(56名)

● 地域の現状・課題

尾道市南東部の浦島地区では、農業や漁業が地域産業の主体となっており、漁業はアサリや刺網、小型定置網などが営まれてる。

・海岸線には国や県が造成した人工干潟が複数あるのが特徴で、そこではアサリを中心とした漁業が行われている。

・現在、干潟における砂の移動、クロダイ・エイ類等による二枚貝の食害、松永湾内の一大アサリ生産地「山波の洲」における資源量減少による幼生供給量の低下によって、アサリ資源が大きく減少しており、干潟の生産力や生物多様性機能の劣化が懸念されている。

尾道市におけるアサリ漁獲量(t)の推移

● 活動の内容

・干潟に浮遊する幼生や、波浪で巻き上げられ飛来する初期稚貝を確保するために、10 月末~2 月の期間中に「網袋」を設置した。

・クロダイなどの食害、砂の移動による稚貝の消失を防ぐために、干潟上に「被覆網」を設置した。

・かつてのアサリ一大生産地「山波の洲」を有する松永湾側は、その資源再生が未だ課題となっていることから、H30年度から新たに活動場所を1 地区設け、アサリ資源再生の取り組みを試験規模でスタートした。

・効果の高い被覆網による試験を実施し、アサリの生息状況だけでなく、網の種類、張る方向などの検討も併せて行うことにした。試験は、視認サイズの稚貝が確認できる5月に網を設置し、開始した。

網袋を活用した稚貝の確保・保護のポイント概要

● 活動の効果

・当該地区の観音地先では、H22 年以降、アサリの漁獲がほとんどされていなかった。しかし、H25 年度から資源回復に向けた取り組みを開始してから、被覆網内で順調に回復し、H29年度は3.5 トン、今年度は1.5 トンの漁獲がみられた。本取り組みの成果によって約10 年ぶりに水揚げが可能になったことから、地区に活気が戻りつつあり、大きな効果が得られた。

・新たに追加した松永地区における被覆網試験の結果は、設置半年後の秋季のアサリ個体密度において、網なし区では本種が確認できなかったのに対し、網かけ区では100 個体以上確認された。特に、防風ネットやモノフィラメントで効果が高く、目合4mm 以上の被覆網が有効と考えられた。

被覆網試験の結果(設置半年後の秋季調査結果)