● 地域の現状・課題
・阿部地区は、徳島県南部に位置し紀伊水道に面しており、昔から豊かな藻場があり好漁場として知られていた。特に、阿部で収穫されるアワビは大阪の市場などで“アブのアワビ”としてブランド化され、高値で取引されている。
・しかし、藻場の減少が続きアワビやイセエビなど魚介類の水揚げ量は、30年前と比べ約1/6まで減少。
・多くの魚介類の育成場となる藻場の維持・回復を図ることを目的とし、平成30年度に当該組織を設立し、藻場の保全活動に取り組んでいる。
岩場に張り付くアワビ
隠れて様子を伺うイセエビ
● 活動の内容
・阿部地区の藻場の減少は、植食性魚類による食害が原因が考えられるため、食害生物の駆除と母藻設置をメインに活動している。
・食害生物の駆除は、イセエビの刺し網漁が休みの月夜の期間、刺し網を使った植食性魚類の駆除を行っている。
・母藻設置は、海底でちぎれ漂流しているアラメやカジメをスポアバッグ方式で設置。実際に魚の食害を確認するため、一部のアラメやカジメをスポアバッグに入れず海底に約1ヶ月設置した。
設置前のスポアバッグ
スポアバッグ設置中
スポアバッグ設置中
食害調査
● 活動の効果
・活動を行ったことにより、令和元年度にはアラメ・カジメが繁茂する様子が見られたが、食害調査の結果、一部の海藻は植食生魚類の食害を受けていた。
・食害生物の駆除をこれまではイセエビ用の刺し網を使用していたが、これに加えより効率良く駆除できる方法を模索していく。
・今後、地球温暖化による水温上昇に起因し、植食生魚類による食害被害の拡大が予想されるため、これからも活動を続けていきたいと考えている。
アラメ・カジメ繁茂の様子
食害調査の結果
食害漁駆除の様子
食害漁駆除の様子