● 地域の現状・課題
- 中土佐町は高知県中西部に位置しており、土佐湾に面している。
- 十数年前ほど前までは、ガラモ場とアマモ場が広がっており、イセエビやアワビ・トコブシなどの生息地となっていたほか、テングサやフノリなども利用されていた。
- しかし、近年は藻場が著しく減少しており、養殖を試みたコンブも魚類による食害で育たなくなってしまった。
- 植食性魚類だけでなく、多量に増殖したウニ類の食圧により磯焼けが進行しており、藻場を保全するための対策が求められている。
磯焼け状態の海底
● 活動の内容
- 藻場の保全活動として以下の活動を実施している。
- 母藻の設置
近隣海域から採取したホンダワラ類を使用し、初夏にはスポアバッグで、春には藻体のついた石を活動海域に設置している。 - ウニ類の除去と密度管理
ウニ類を船上や岸から棒で潰す方法と潜水して採捕する方法で実施している。ウニ類を完全に除去するとソフトコーラルなどが増殖し、藻場が増殖しにくくなる可能性があるため、ウニ類が著しく減少した場所にはウニ類を移植している。 - 植食性魚類の除去
植食性魚類を網やカゴにより捕獲・除去している。 - 岩盤清掃
海藻類の付着基盤を確保するため、陸上作業もしくは潜水により岩礁上の付着生物を除去している。 - 浮遊・堆積物の除去
海岸の漂着ゴミや浮遊ゴミ、海底の堆積ゴミを除去している。
母藻の設置(スポアバッグ)とウニ類除去の様子
植食性魚類の除去(カゴ)と岩盤清掃の様子
● 活動の効果
- 周辺海域で藻場の衰退が進行している中、活動を行っていることで被度10%ほどではあるがホンダワラ類の着生が維持されている。
- 継続してウニ類の除去を行ったことにより、大型のウニ類は減少し、小型の個体が目立つようになってきた。
- 活動を開始する前には磯焼けで白くなった岩礁表面が見えていたが、最近では岩礁表面に藻類の着生が確認できるようになってきており、徐々にではあるが活動の成果が表れ始めている。