● 地域の現状・課題
- 愛南町は愛媛県の最南端に位置し、太平洋に面した温暖な地域である。
- 町内では水産業が主要産業となっており、まき網、一本釣り、刺し網、遊漁船、渡船のほか、養殖業ではマダイやブリ、真珠、マガキなどが生産されている。
- また、沿岸部はリアス式地形を有しており、ホンダワラやヒロメなどの大型藻類が繁茂する藻場が繁茂していたが、近年磯焼けの状態が見られるようになり、2018年頃からは藻場がほとんど見られない状況が続き、漁業への影響が懸念されている。
- 磯焼けが一層進行する要因として、植食性生物であるガンガゼ等のウニ類や、ブダイ、イスズミ、アイゴの増加が考えられる。一方で、町内漁業者の高齢化が進んでおり、課題への対策をする人材が確保しづらい状況が続いている。
愛南町沿岸の磯焼けの様子
● 活動の内容
愛南町沿岸部の藻場の保全・回復のため、以下の活動に取り組んでいる。
- 潜水等によるガンガゼ駆除。スキューバ潜水によるガンガゼ駆除は、町内のダイビングショップなどと連携して実施している。また、令和6年度から愛媛大学ダイビング部らも参加し、愛媛県内の大学と連携した駆除活動も実施している。
- 母藻・種苗の投入。町内の真珠養殖筏から生えており、生産の妨げとして除去されているマメタワラを種苗として設置する。
- 活動区域のモニタリング。ガンガゼの個体密度および藻類相の変化を年5回程度調査している。
愛媛大学ダイビング部によるガンガゼの駆除の様子
● 活動の効果
- ガンガゼの駆除により、藻場の回復において一定の成果が上がっている。一方で、ガンガゼの個体数は駆除で一時減少しても時間の経過とともに増加する傾向が見られるため、維持保全のためには継続した活動が不可欠である。
- 現在、取組参加者が少なく充実した取組みの継続には新たな参加者を増やす必要がある。すでに行っている愛媛大学との連携や、町外の団体との連携、または愛南町で推進されている海業の取組みとの連携などで、より安定した活動に繋げていきたい。
【令和6年度実績】
- 活動面積:2.3ha
- 食害生物(ガンガゼ)駆除数:11,600匹
ガンガゼ駆除前の沿岸部
ガンガゼ駆除を2年間継続した沿岸部