● 地域の現状・課題
・川口地区は、熊本市の西南部に位置している。地区を流れる緑川の河口には大きなヨシ群落が、河口出口には大きな干潟が広がっている。
・川口地区は、農業と漁業の町であり、米やトマトなどの野菜、ハマグリやアサリ、海苔などが生産されている。
・緑川河口で生長するヨシは良質で細やかなため、海苔製造に必要なミスとして全国で利用されてきた。しかし、安価なプラスチック製品に押され需要がなくなるとともに管理が行き届かなくなり、立ち枯れが目立ち、水質浄化や生物多様性機能の劣化が懸念されるようになった。
・また、立ち枯れしたヨシの枝葉などが洪水時に干潟漁場に流出し悪影響を及ぼすこともあり、その管理が求められた。
緑川の河口に広がる大きなヨシ群落
● 活動の内容
・刈り取りは、立ち枯れたヨシの乾燥が進む2月に実施した。刈り取ったヨシは、適当な間隔でまとめ山積みした。刈ったヨシが潮の干満で流出して干潟の漁場等に悪影響を与えないように中洲縁辺のヨシは刈り取らず残すよう配慮した。
・ヨシ焼きは、山積みしたヨシを順次燃やす方法で行った。活動前には、消防局(署)や河川管理者への届出、警察署や河口流域住民への周知を実施した。また、消防車及び団員の確保も行い、安全対策を図った。
・ヨシ焼きを郷土の風物詩として定着させ、ヨシ帯や干潟の保全への理解を深めていくため、河川管理者や水産行政関係者、流域の市民団体、小学校児童などを招きヨシ焼きした。
ヨシの刈り取り作業の状況
ヨシ焼き作業の状況
● 活動の効果
・活動前のH25のヨシ帯面積は9.3haであった。その後、2.0ha前後の刈り取り・ヨシ焼きを数年実施したところ、春に順調に新芽を出し、秋にかけて均一に生長した。
・刈り取り区域内の裸地にもヨシ群落が形成され、ヨシ帯面積が増加した。
・現在は、刈り取り面積を約2倍に拡大し、ヨシ帯の保全・管理を行っている。今後も、郷土の風物となるよう、干潟保全と一緒に引き続き活動を展開する。
ヨシの刈り取り面積
ヨシ帯面積の推移
①地域の恒例になってきたヨシ焼きイベント
②地域の恒例になってきたヨシ焼きイベント