● 地域の現状・課題
- 日出町は別府湾の北西部に位置している。
- 日出町で漁獲されるマコガレイは「城下かれい」と呼ばれ、全国的にも有名である。
- しかし、かつては年間20tに及んだマコガレイの水揚げが、近年3~4tにまで減少している。
- 日出町では平成12年から中間育成施設でマコガレイの稚魚を育て放流し続けているが、これら稚魚が生長していく上で重要なアマモ場が国道の整備等による埋め立てなどで減少したことから、その保全が求められている。
- なお、アマモ場の保全活動は平成23年度から町の単独事業で進められており、平成28年度より当該組織が継続してアマモ場の維持・回復に向けた取り組みを行うことにした。
別府湾のアマモ場面積の推移
● 活動の内容
- カレイ類などの稚魚の隠れ場・餌場となるアマモ場を再生し、これら水産資源の回復することを目的にアマモ場の保全活動を実施している。
- アマモの移植
移植に用いるアマモは近隣の天然藻場から採取し、毎年6,000株程度を移植している。当初は粘土法で実施したが移植株の流失が多かったため、現在(令和2年度)では麻袋に砂を詰めて地下茎を固定し、麻ひもで流失しないように結び付けて投入する方法を採用している。 - アマモの播種
アマモの種子は近隣の天然藻場から採取した花枝より選別したものを使用しており、毎年5万粒程度を播種している。以前はガーゼ法やわら縄法で実施したが流失が多かったため、現在(令和2年度)では麻袋に腐葉土と砂と種を詰める方法で、1カ所につき10袋程度を船上から沈めている。 - その他にも、干潮に合わせて海岸に漂着・堆積したゴミの除去を行っている。
アマモの移植(移植株の作成と投入)
アマモの播種(花枝(種)の熟成と播種用の麻袋作成)
● 活動の効果
- 活動範囲におけるアマモの平均被度は徐々に増加しており、令和元年度には55%になった。
- 大分県の調査においても活動開始前(平成23年)に比べてアマモ場面積の増加が確認されており、平成23年度から継続してきた長年の取り組みによって、着実にアマモ場の回復が図れている。
- また、城下かれいの資源を回復するための種苗放流やアマモ場保全の取り組みは広く知れわたり、各種メディアに話題を提供したり、地元の子供や保護者、住民などの教育・学習の場になったりしている。
アマモの平均被度の推移
アマモの生育状況