● 地域の現状・課題
- 当会の拠点は、鹿児島湾(錦江湾)奥に位置する姶良市である。
- 鹿児島湾奥に広がる干潟では、かつてアサリやハマグリが生息し、県内の数少ない潮干狩り場として有名であった。
- しかし、近年、これら二枚貝資源が大きく減少し、潮干狩りも禁止となっている。
- 二枚貝資源が大きく減少した原因は、平成5年8月の豪雨災害による泥の堆積が有力である。また、その後の資源回復を抑制している大きな要因は、ナルトビエイやクロダイなどの食害と考えられ、その対策が喫緊の課題となっている。
● 活動の内容
- 当会は、姶良市を流れる網掛川やその河口干潟を管理する網掛川漁協とその組合員が中心となって平成25年度に設立した。
- 当会の目標は、河口干潟におけるアサリ・ハマグリの二枚貝資源を再生し、かつて市民で賑わった潮干狩りを復活させることにある。
- 二枚貝資源の再生として、活動当初はアサリを対象に活動を展開。しかし、活動場所が河口に位置することから、淡水化が長期に亘ると本種がへい死するため、現在は淡水にやや耐性のあるハマグリを対象に取り組みを行っている。
- 活動は、他県産の稚ハマグリを10-11月に購入し、砂の移動防止を講じた区画にそれを移植し、被覆網で食害を防ぎながら約2年保護・育成する。その後、産卵後に近隣の園児や小学生に潮干狩り体験学習の場として提供する方針で活動を実施している。
● 活動の効果
- 放流し保護・育成した稚ハマグリの生残率は、5ヶ月後の春季までは3ヶ年平均で約80%と良好である。しかし、最近の夏季から秋季の豪雨や台風襲来で、その後の生残率が安定せず苦慮している。
- また、放流用の稚ハマグリについても、購入先の有明海・八代海などの不漁で入手が困難になっており、ここ3ヶ年の現存量は減少傾向にある。
- ただし、保護・育成し生残・成長したハマグリ等二枚貝を用いた潮干狩り体験学習は、体験の機会が減った子どもたちに好評を得ている。また、今後の継続や地域住民の参加を求める声が多く寄せられ、市民の干潟及び干潟生物に対する興味が高まっている。
- 今後、市民の関心をさらに高めるためにも、引き続き試行錯誤しながら活動を展開し、将来につながる取り組みを進めていきたいと思う。