● 地域の現状・課題
- 大根占地区は大隅半島の南西部に位置しており、錦江湾(鹿児島湾)の湾口部に面している。
- 地区ではカンパチやヒラマサなどの養殖業が盛んな一方、漁船漁業では一本釣り(マダイ)や延縄(アマダイ)、ごち網(底生魚)、建網(イセエビ)などが季節に応じて営まれている。
- かつて地区の沿岸には藻場が広がっていたが、1970年代初め頃には藻場はほとんど消滅し、それに伴い漁船漁業の生産量も大きく減少した。
- 藻場の消失は漁船漁業の衰退の要因になっており、その再生が地区の漁業にとって喫緊の課題となっている。
活動を行っている海域
錦江町における漁船漁業生産量の推移
● 活動の内容
- 藻場の再生を目指し、①アマモの播種、②海藻の種苗投入、③ウニ類の除去を実施している。
- ①アマモの播種
毎年1~2万粒ほどのアマモの種を、俵型に平べったくした紙粘土に付着させて船上から投入し、その後潜水作業で整形している。 - ②海藻の種苗投入
地区の岩礁域は限られるため、離岸堤や捨石帯を基盤とした藻場造成を図っている。ホンダワラ類種苗ブロックを購入して設置しており、毎年40~50個ほど設置している。 - ③ウニ類の除去
ウニを潰すための道具を作成しており、これを使い、潜水や素潜り、船上から突く方法で水中で潰して除去している。集中的に除去するために範囲を限定し、除去状況に合わせて徐々に範囲を拡大するように計画的に実施している。
アマモの播種
海藻の種苗投入
ウニ類の除去
● 活動の効果
- ウニ類の除去は、範囲を限定して局所的に実施しているため、年度ごとに除去数にバラつきがあるものの順調に進んでいる。平成28~令和元年度にかけての除去量は6~8万個/年程度で推移しており、徐々にではあるがその個数が減少している。
- ホンダワラ類の被度は平成30年まで順調に生長しており、一定の成果を得ることができている。
- アマモについてはいまだ低い水準ではあるが、単年でパッチ状に分布していたり、高密度で繁茂する様子が確認されている。
- モニタリングは鹿児島大学のサポートを得ながら行っており、年度ごとの成果の根拠と今後の課題を模索しながら、より効果的な活動にできるように努めている。
- 今後も活動を継続し、安定的な藻場の回復とその拡大を図る取り組みを進め、沿岸漁業の再生を図っていきたい。
海藻(草)被度の推移
増加したホンダワラ類と播種により生長したアマモ