● 地域の現状・課題
・当該地域は中国地方最高峰の大山(1,729m)の裾野に広がる広大な転石海岸を有し、沖合に続く岩礁域は、サザエやアワビ等の貝類とともに、回遊魚(サワラ等)の好漁場となっている。特にサザエは県内有数の水揚量を誇り、刺網(サザエ網)による漁獲が主体となっているが、漁場の水深が10m以深と深く、近年、餌となる藻類の減少が懸念されていることから、深場に適した海藻による藻場の回復が課題となっている。
● 活動の内容
1.藻場の保全
1)母藻の設置
平成28年度より、御来屋漁港西側(西伯郡大山町富長地先)の水深約10m帯に設定した活動範囲(2.5ha)を対象に各年0.5haの範囲内にクロメとノコギリモクの母藻設置(年間約100株)を継続している。
2)浮遊・堆積物の除去
直近河川からの流出物や漂流物による藻場への悪影響を軽減するため、前記に併せて、活動範囲(2.5ha)全域を対象に浮遊・漂着物の除去活動を行っている。
3)モニタリング
上記活動の効果を検証するため、海藻の着生状況をスキューバ潜水により観察している。
写 真:①活動範囲位置図 ②母藻投入の状況 など
● 活動の効果
・モニタリングの結果、設置した母藻の周辺にクロメやノコギリモクの幼体と思われれる海藻が確認され始めている。特に、クロメはサザエの餌料となることから、引き続き、活動範囲内(2.5ha)での母藻設置を年間0.5ha(1/5)ずつ、順次進めるとともに、モニタリングによる経過観察を続けて行きたい。
写 真:①クロメ・ノコギリモクの幼体が着生している状況(栽培漁業センター)