● 地域の現状・課題
・太良町大浦地区は佐賀県西南端の有明海に面した場所に位置し、主に漁船漁業を営んでいる。
・大浦地区では、刺網漁業、はえ縄漁業、投網漁業等、漁業種類は季節を通じて多岐にわたっているが、特に冬期の主幹漁業である潜水器漁業(タイラギ漁)においては、資源が壊滅的な状況にあり、9年間連続で操業出来なくなっている。
・海底環境が複合的要因により、二枚貝等の底生生物が育ちにくい状況にあることから、酸素を底質に供給することで、硫化物を分解・減少させ底生生物を増加させることを目的とした、耕うん・堆積物の除去を実施することとした。
参加者(A地区)
参加者(B地区)
参加者(C地区)
● 活動の内容
・海底耕耘作業は、幅1.5m程度、長さ1.5m~2m程度の袋状の網の入り口に20本程度の爪と重りを装備した「貝桁」を漁船の船尾から曳いて行う。
・回収したゴミは陸揚げし、一般廃棄物(可燃物、空き缶、空き瓶等)と産業廃棄物(木・竹等、漁網・ロープ等、金属等)に選別し処分する。
・海底耕耘の効果を確認するために、活動面積(630ha)内に20地点の調査地点を設定し、グラブ式採泥器を用いた採泥作業、及びマクロベントス調査として、門の同定、湿重量、個体数の計測を行った。
使用する貝桁
耕うん作業状況
ゴミ等の堆積物回収状況
回収ゴミの陸上での分別作業
● 活動の効果
・耕耘したことにより、ある一定の底質への酸素供給が出来たと考えられるが、マクロベントスの個体数は撹拌前の1,047個体に比べて、撹拌後の793個体と約4分の1減の結果となった。
・底質の環境が硫化物により以前から悪化しており、撹拌直後の硫化物の巻き上げ等で生物が減少した可能性も考えられる。
・今後も引き続き活動を継続することで、減少した生物量の回復を目指す。
使用する採泥器
採泥作業
採泥作業
採取試料