● 地域の現状・課題
- 厚岸町は北海道の東南部に位置し、南に太平洋が広がり、海岸線は厚岸湾が深く湾入し、その奥に厚岸湖を擁する風光明媚な自然豊かな町である。令和2年の人口は約9千人で、人口の約3割が漁業と水産加工に従事する、漁業の盛んな町となっている。
- 活動組織の核となる厚岸漁協は創立73年の歴史を持ち、令和2年の組合員は476名、主な漁業はサンマ・コンブ・アサリ・カキ・ツブ・タコを中心に販売取扱額は約48億円となっている。近年は海洋環境の変化によりサンマなどの回遊魚の漁獲が低迷しており、根付資源の一つであり、平成初期に60%内外の全道シェアを誇っていたアサリ漁業の維持・増大に浜の関心が大変高くなっている。
- 170軒の漁家が営むアサリ漁業は当地域の基幹漁業の一つであり、東日本大震災による津波により生産量は半減したものの、努力の甲斐あって令和2年の生産量は平年レベルまで回復した。しかし、近年の海水温の上昇等によりどのような影響が生じるか予測も難しく、今後も安定した生産を行うために資源の維持・増大が重要な課題となっていた。
- そこで資源維持体制をより強化するために、関係者201名が、この課題に取り組むべく平成28年度に「厚岸湖内地区活動組織」を立ち上げ、活動を開始した。
- アサリ資源を守るうえで害敵除去は必須との認識が共有された。

年次別 活動位置図(点はモニタリング地点)
● 活動の内容
- 6~2月の期間に協定面積125ha内において害敵除去とモニタリングを行った。徒手と漁船による「ヒトデモップ」の曳航で除去活動を行った。

徒手による除去の様子

「スターモップ」曳航によるヒトデ除去

コドラート法によるアサリのモニタリング調査

効果的な活動について議論する活動組織会議
● 活動の効果
- 継続的な害敵除去によりアサリ資源は緩やかに増加傾向にあることが判明した。
- 害敵除去の重要性が認められ、ヒトデモップの導入等技術向上と事業の効率化が図られた。
- 会の活動が地域に認識され、ボランティアが参加するなど地域活性化に寄与した。

徒手により除去された三角ツブなどの一部

スターモップで除去されたヒトデ類

三角ツブの除去量とアサリ推定資源量の年変動