火散布沼干潟を保全する会(北海道浜中町)

● 活動項目

干潟等の保全

● 組織の構成

漁業者、散布漁協(159名)

● 地域の現状・課題

  • 火散布沼のある浜中町は、北海道東部の根室半島付近に位置しており、太平洋に面している。
  • 火散布沼は、潮の干満により海水が流入する汽水湖であり、ここで行われるアサリ漁は漁業者にとって冬季の貴重な収入源となっている。
  • アサリ漁は、干潮時の手掘りと船上からの挟み採りにより行っており、毎年行われる資源量調査により漁獲許容量を定め、殻長3.5cm以上のアサリのみ漁獲している。
  • 近年、地盤高の低下や死殻の増加による干潟環境の悪化、食害生物の増加が発生しており、干潟環境の改善が求められている。

活動区域

● 活動の内容

  • 当該組織は、アサリの生息に適した良好な干潟環境を維持することを目的として、干潟の保全活動を実施している。
  • 客土:地盤高の調整を目的として、天然礁の砂が流出した場所に客土を行っている。
  • 耕うん・死殻の除去:アサリ生息地の底質改善を目的として、地盤が固まった場所や藻類が繁殖した場所を耕うんするほか、死殻を除去して干潟の環境悪化を防いでいる。
  • アサリ稚貝の密度管理(移植):アサリの成長を促進するため、アサリを密度の高い場所から低い場所へ移植して、密度を管理している。
  • 食害生物の除去:アサリの食害を軽減するために、タマガイ類やヒトデ類を除去している。
  • その他にも、干潟の一部を中学校に開放し、干潟の環境整備(保全活動)や資源量調査、アサリ漁体験(漁獲~出荷)など、総合学習の場として利用してもらっている。

● 活動の効果

  • 干潟の保全活動と徹底した資源管理を行ったことにより、近年のアサリの推定資源量は400トン台を維持できている。
  • 耕うんについては、従来、小型耕運機を使用していたが、トラクターに変更したところ、作業の効率化が図れ、作業により破損するアサリも減少した。
  • 一部の区画では資源量が減少しており、原因の究明と新たな対策が必要となっている。今後も、干潟の保全活動を継続し、良好な干潟環境の維持に努めたい。
  • また、地元中学校との漁業を通じた交流は約50年にわたり行われてきた。平成27年度からは漁協へのアサリ出荷体験を開始し、生徒たちによる収益は、東北や九州の被災地への義援金や、地元老人ホームへの車いす寄付などに充てられた。
  • 地元中学校との取り組みは、環境教育だけでなく、漁場管理・漁業生産という社会活動を通じて、生徒の自立を促すような能動的な教育活動として機能している。

火散布沼におけるアサリ推定資源量の推移

地元中学生との教育活動