● 地域の現状・課題
- 歯舞地区は、本土最東端となる根室半島に位置しており、水産業が盛んな地区である。
- 全漁家の約7割がコンブ漁業を営んでおり、コンブ漁業が当地区の重要漁業の一つとなっている。
- そのため、安定した生産を行うためにコンブ類の資源維持・増大は重要な課題となっており、これまでにも資源維持の活動を行い、藻場環境の改善に努めてきた。

活動区域
● 活動の内容
- 藻場を保全し、水産資源の維持・回復を図るために以下の取り組みを実施している。
- コンブの種苗投入(11月)
ロープで縛った石にアツバコンブの胞子を付着させ、海中に投入している。 - 岩盤清掃(チェーン振り)(10~12月)
チェーン付きフロートにより岩盤清掃を行い、海藻が付着できるように海底表面を更新している。 - 岩盤清掃(スガモ除去)(10~3月)
スガモが砂とともに藻場を侵食するため、ねじり棹などで除去し、海藻が付着できるように着生基盤を確保している。

種苗投入準備(胞子の付着)と岩盤清掃のフロート

スガモの除去とモニタリングの様子
● 活動の効果
- 28地点あるモニタリング地点のコンブ類平均被度を見ると、徐々に増加する様子が確認できた。
- 平成28年度に3.5%であった平均被度は令和1年度には10.6%に増加しており、地点によっては被度15%にまで増加していた。
- 漁業者は長年にわたりコンブ類の資源維持の活動を行ってきたが、今回は岩盤清掃にとどまらず、種苗投入という意欲的な活動を盛り込んでおり、今後も活動を続けることにより、藻場の保全・回復が期待される。

コンブ類の平均被度の推移