● 地域の現状・課題
・天塩町は北海道北部の日本海に面し、北海道内第2位の長さの天塩川の河口に位置する。大ぶりなしじみの産地として有名。活動組織が属する北るもい漁協天塩支所は主にさけ、しじみ、たこ、刺網漁業を行っており、令和4年度の組合員数は27名、販売取扱高は12憶円であった。、
・天塩川の下流域に位置する汽水域であるパンケ沼ではしじみ漁を行っており、昭和60年には500トンの漁獲量であったが令和4年には11トンの漁獲量に留まり資源の減少が深刻となっている。
・そのため、資源の回復を図ることや環境の保全を目的として平成25年度に「天塩地区干潟造成保全会」を立ち上げた。
パンケ沼
● 活動の内容
・機能発揮のための生物移植
パンケ沼では水温が上昇するとアオコが発生し、シジミから異臭が生じる等操業を中断する事態も起きている。シジミは懸濁物食性生物であることから、アオコの栄養源である窒素やリンを回収するとともに餌の取り込みや呼吸のために水を濾過し水質浄化の役割を果たしている。
そのため、天塩川よりパンケ沼へ漁獲サイズ以下のシジミを移植してパンケ沼の資源の回復を図り、環境の保全に努めている。
移殖箇所
移殖放流時
● 活動の効果
・パンケ沼では底質改善のために覆砂事業も行っており、その場所にシジミを移植することによって資源の回復や環境の保全への効果がより高まると考えている。
・図のように資源の回復に効果があると考えられるため、引き続き移植放流を行っていきたい。
移植放流前後の推定資源量