入舟の海を豊かにする会(北海道函館市)

● 活動項目

藻場の保全

● 組織の構成

漁業者、函館市漁協(16名)

● 地域の現状・課題

  • 函館市入舟地区は北海道の南西部、渡島半島の津軽海峡中ほどに面した、100万ドルの夜景で有名な函館山の西側裾野に位置する漁業地帯である。
  • 地域の人口は約4千人である。
  • 活動組織が属する、函館市漁協は平成10年に広域合併し、令和元年度の組合員数は165名、販売取扱高は11億円の組織である。
  • 入舟地区の主な漁業はイカ釣り・小定置・ウニ・アワビ等の採介藻漁業である。
  • 近年、海水温の上昇に伴い、コンブの葉腐れや根腐れ、ウニのへい死、スルメイカ・サケなどの回遊性魚類の来遊量の減少など、海洋環境の急変が漁獲量の減少を招いており、これらの対策が急務となっていた。
  • そのため、自分たちでできることを検討した結果、ほとんどの漁業者が携わるウニ・アワビ等の磯回り漁業に影響を及ぼす藻場対策に地域全体で取り組むべく、平成28年度に関係者16名の賛同を得て、活動組織「入舟の海を豊かにする会」を立ち上げた。
  • 活動は連帯感を醸成し、地域に活力を生み、環境保全や地域振興にも寄与できるとの認識が共有されることが期待された。

活動位置図・協定海域(赤点線内)

● 活動の内容

  • 藻場の保全や磯根資源の維持回復を目的に活動を始めた。
  • 主な活動は、コンブ母藻の設置・コンブ種苗の投入・ウニの密度管理・岩盤清掃・モニタリングである。

コンブ母藻と重石をタマネギ袋に入れ、海藻が衰退した海底に設置

コンブ種苗をロープに挟み込み、海中設置

岩盤清掃 (石灰藻等の高圧水による剥離洗浄作業風景)

● 活動の効果

  • 積極的な活動により、後退気味だった藻場の維持・保全を若干ながらも図ることが出来た。
  • 活動が活発になるにつれて交流や情報交換が進み、課題に対してのアイデアも提案されるようになり、技術改良が進んだ。また、活動が地域の一体感を生み出し、地域活性化に寄与した。

岩盤清掃等で、ワカメなど藻場が形成された

ウニの密度管理で、 計画通り移殖される大量のキタムラサキウニ

性能が高い高圧水洗耕で、新しい基質が造成された様子。こういう場所は効果が期待される