● 地域の現状・課題
- 余市町は、北海道の日本海に面した積丹半島北部付け根に位置する人口約1万8千人の自然豊かな町で、ニッカウヰスキー発祥の地として有名であり、漁業・水産加工業をはじめフルーツの王国としてもよく知られている。
- 活動組織が属する余市郡漁協は創立144年の歴史ある漁協で、令和2年度の組合員は84名、販売取扱高は約15億円の組織である。
- 主な漁業は、ナンバンエビ(甘エビ)、イカ、ブリ等を対象とした漁船漁業やウニ・アワビ等の浅海漁業である。カキ・ホタテ・ムール貝の養殖やウニ・アワビ等の種苗放流も行っている。
- 近年、海洋環境の変化による回遊性資源の減少や磯焼けによる磯根資源の減少で経営はひっ迫しており、資源管理や密漁対策の強化が望まれていた。また、難破した不審船の漂着やトドなどの海生哺乳類の出現のほか、国際貿易港である石狩湾新港にほど近いことから行き交う船舶も多いため、安全な漁業活動に寄与する水域監視も求められていた。
- そこで、余市郡漁協の中央地区を一つのグループとして、平成28年度に関係者24名の活動組織「余市郡西部地区水域監視活動組織」が立ち上げられ、活動が始まった。
活動位置図・水域監視活動位置図(斜線部)
● 活動の内容
- 海洋生物保全と安全操業確保のため、海上監視と情報収集体制の構築を図る活動を展開した。
- 25名の構成員が協定水域50.33㎢内の監視を行い、情報の共有と集約に努めた。
海上監視に向かう出港前の様子
海上監視活動の様子
海上監視を無事に終え帰港
● 活動の効果
- 監視の重要性の認識が深まり、情報の一元化と共有化が図られ、海難事故防止にも大きく寄与するようになった。
- 活動は連帯感を醸成し、地域に活力を生むと共に環境保全や地域振興へ意識が高まった。
- 漁業者が普段から環境異変に注意を払うようになった。
浮遊するロープを発見