● 地域の現状・課題
・羅臼町は北海道東部にある知床半島の東側に位置し、海域も含め、世界自然遺産に登録されている地域である。
・２６ｋｍ沖合には北方領土の国後島を望み、この中間点が事実上の国境となっている。
・基幹産業は水産業であり、サケ定置、刺網、根付漁業が水揚げの中心で、令和２年度の水揚げは６３億円である。
・近年、トドなどの海獣類の出現や流木や流氷等の漂流物が漁船の航行や操業に悪影響を及ぼしており、災害の未然防止が喫緊の課題となっていた。
・特に、前浜や沿岸で操業する沿岸漁業者にとっては、これらの情報は安全航行・安全操業を行う上で、欠くことのできない情報であり、情報精度を高めるために、平成２８年度に沿岸漁業者が一体となって、緊急時に対応できる災害対策活動組織を立ち上げた。
・活動組織の取り組みは情報の迅速化高度化を目指して、非常通信機の整備を行い、これを活用した海難救助訓練を行うことにした。
・活動は連帯感を醸成し、地域に活力を生み、環境保全や地域振興にも寄与できるとの認識が共有されることが期待される。
活動位置図・協定海域
● 活動の内容
・非常時に有効な通信機器を協議会員の船舶に整備を行った。
・非常時の通信機器を活用した海難救助訓練を行い、救援体制の構築を図った。
・非常時を想定した訓練は毎年１１～１２月に実施している。
協議会員船舶に整備された非常時通信機器
海難救助訓練(非常時通信訓練)の出航風景
海上での通信訓練の風景
● 活動の効果
・羅臼沿岸海域での災害発生時に備え、非常通信機器を活用した海難救助訓練等の共同活動を通じ、連帯とともに災害に対する警戒心の高揚と緊急体制の確立が図られた。
・災害防止意識の向上から、この期間海難は発生しなかった。
災害対策・海難救助訓練の打ち合わせ説明会
漁業無線局との通信訓練
町役場にも整備された災害対策協議会と一体化した非常通信機