標津沿岸海難救助組織(北海道標津町)

● 活動項目

海難救助訓練、海の監視ネットワーク強化

● 組織の構成

漁業者、標津漁協(225名)

● 地域の現状・課題

  • 標津町は、北海道東部の知床半島と根室半島の間に位置している。
  • 目の前には国後島を臨んでおり、標津町と国後島の間にある野付水道が事実上の国境となっている。
  • 東日本大震災の際には、文字通信の可能なデジタル無線機が有効的に活用されたことを聞き、当海域にも整備したが、十分な訓練が行えていなかった。
  • また、平成27年には低気圧の通過によって多量の流木が発生し、船の航行に支障をきたしたことがあった。
  • これらのことから、デジタル無線機を活用した海難救助訓練や海上監視が必要とされたため、当該組織を設立し、活動を実施することにした。

 

 

 

活動実施海域

● 活動の内容

  • 年に1回、文字通信ができるデジタル無線機を使用した海難救助訓練を実施している。
  • 海難救助訓練の手順
    ①沖の指導船から無線局へ落水者の発生・捜索船の要請の発報
    ②無線局から各船に対し、デジタル文字通信による捜索活動依頼を発信
    ③各船は見張りを立てて指導船へ出港し、無線で無線局へ出港の報告
    ④訓練参加船より救助確認の報告を無線局へ発信
    ⑤無線局より救助確認の連絡を各船に発信し、訓練終了
  • 平成30年度より、不審船や流木、海況などの異常を発見することを目的として、通常の操業時に海上監視を実施することにした。
  • 陸上情報集約として、海上監視に出船した船の出港・帰港時間等を無線局から得て出船状況を管理するとともに、月に1~2回、レーダー画像による出港船舶の照合を行っている。

 

 

指導船「はくちょう」の出港

指導船はくちょうからの救助通信発信

漁業無線局での活動状況

レーダー画像による出港船舶の確認

● 活動の効果

  • 海難救助訓練参加人数が年々増加しており、平成27年度には43名だった参加者が、平成30年度には97名にまで増加した。
  • 平成30年度の海上監視では、9月~3月の間に合計132日間、延べ1,519隻、4,357人が監視作業にあたっており、その結果、不審な船や異常事象などは見られなかった。

 

海難救助訓練の打合せ(参加者が増加した)

海上監視の参加船数と作業員数