● 地域の現状・課題
- 当該組織は、津軽半島北西部に位置する小泊地区を拠点として活動を行っている。
- 地区の沿岸は江戸時代より海の難所として知られており、多くの海難事故が起きていた。昭和以降、漁船だけでなく、プレジャーボートの事故や釣り人の転落事故なども発生している。
- 海難事故が多い地域であったため、明治36年に小泊救難組合(現:小泊救難所)が発足し、これまで海難救助訓練や事故防止のための活動を行ってきた。
- 平成25年度からは当該組織が海難救助訓練を引き継ぎ、技術の継承と普及に取り組んでいる。
過去の海難事故
● 活動の内容
- 1年に1回、100名以上が参加する海難救助訓練を実施している。
- 訓練は構成員の他にも、海上保安部や警察署、消防団などの協力を得て行っている。
漂流者の救出訓練
応急手当訓練
救急搬送
炊き出し訓練
● 活動の効果
- 訓練では具体的な海難事故を想定し、船からの無線連絡、現地対策本部の設置、漂流者の救出、船舶の消火・曳航、救命索発射(水難救助)、応急手当、救急搬送、炊き出しなど、一連の救助活動を行った。
- 訓練には保育園の児童と先生も参加しており、このような活動を継続することにより、海の安全や救命の意識が地域の人々に浸透することを期待している。
- 医療機関が少ない小泊地区では、救命に関するエキスパートが構成員の中にいることが安心感を与え、近年課題となっている地域防災力の向上にも貢献している。
- 令和4年6月、当該活動組織の構成員が、転覆したプレジャーボートから海に投げ出された2名を救助するとともに、プレジャーボートを漁港まで曳航した。
- 令和5年9月には、機関故障で航行不能となったプレジャーボートから海上保安部に救助要請があり、同保安部から救助依頼を受けた当該組織の構成員が同船を発見し、漁港まで曳航して救助するなど、これまでの訓練が実際の海難事故に活かされている。
保育園児が参加した訓練の様子