● 地域の現状・課題
- 尻屋地区は、下北半島の北東端に位置し、太平洋に面している。
- 当地区では、主にトロロの原料としてマコンブを採取していたが、平成27年冬の高水温の影響などによりマコンブが激減し、平成28年にはマコンブを漁獲できなかった。
- 加えて、キタムラサキウニも増加傾向にあり、磯焼けが進行中である。
- マコンブなど海藻類の回復のためには、増加するキタムラサキウニが喫緊の課題となっており、ウニ類の除去活動を実施することにした。
磯焼け状態の海底と集まったキタムラサキウニ
● 活動の内容
- 構成員の中には約30名の潜水士がおり、構成員自らが潜水によってキタムラサキウニの除去を実施している。
- キタムラサキウニは潜水により採取し、陸上の粉砕機によって処理している。
- 活動の効果を把握するために、モニタリング地点において、キタムラサキウニの密度や海藻類の被度を測定している。
キタムラサキウニの除去
キタムラサキウニの粉砕処理
粉砕処理したキタムラサキウニ
モニタリングの様子
● 活動の効果
- キタムラサキウニの生息密度は、ここ3年(令和3~5年度)のモニタリング調査では、10定点の平均は2.2~2.7個体/㎡で、やや増加傾向にある。
- 未だに磯焼け状態が継続している定点があるものの、一部定点ではワカメなどの繁茂が見られ、平成5年度のモニタリングでは、ワカメやハイウスバノリを主体とする海藻類の被度が10~12%の定点が10定点中3定点で確認されており、キタムラサキウニの除去による効果と考えている。
- 徐々にではあるが活動の成果が表れ始めていることから、今後もキタムラサキウニの除去とマコンブ種苗の投入を継続して行い、漁業生産につながるマコンブ資源の回復を図る。
モニタリング定点におけるキタムラサキウニの生息密度(個体/㎡)の推移