酒田港藻場づくりの会(山形県酒田市)

● 活動項目

藻場の保全

● 組織の構成

漁業者、酒田素潜り漁業者会、NPO法人パートナーシップオフィス(20名)

● 地域の現状・課題

  • 酒田港は山形県北西部に位置しており、日本海に面している。
  • 当港は海上輸送の拠点となる重要港湾でありながら、水産物の水揚地としても県一の水揚げ量・水揚げ金額となっている。
  • 山形県沿岸の多くは砂地であり、魚類の産卵場・成育場となる藻場は限られている。その藻場もワカメが優占しており、夏には枯れて大型海藻がほとんど無くなってしまう。そのため、残りの大型海藻が消失すれば、魚類の産卵場・成育場が失われることとなり、生物多様性の劣化が懸念されている。
  • そこで、酒田港内の人工構造物を基盤とした新たな藻場を造成し、生物多様性の保全を図ることが求められている。

ワカメが優占した酒田港内の藻場

● 活動の内容

  • 当会は漁業者、ダイビングショップ、NPO法人を中心として平成29年度に設立し、民間企業、教育機関、行政と連携した活動を展開している。
  • 活動方針は、藻場を造成することで、魚類の産卵場・成育場を形成し、生物多様性の創出を図ることであり、食害生物の除去や母藻設置などに取り組むとともに、環境学習を通して地域住民の藻場保全活動への理解増進を図っている。
  • 食害生物の除去
    素潜りにより海藻を食害するウニ類や小型巻貝を採取・除去している。
  • 母藻の設置
    母藻はハタハタの産卵基質となるアカモクなどのホンダワラ類を利用している。母藻とブイをアンカーに固定して投入し、母藻の流失後にブイとアンカーを回収している。
  • 環境学習
    水産祭りなどのイベント時にタッチングプールの出展や活動発表を行っているほか、地元高校と連携して海岸地形の変化や漂流・漂着ゴミの調査研究を行っている。

食害生物の除去

母藻の設置

● 活動の効果

  • モニタリング地点では被度が増加する結果は得られなかったものの、モニタリング地点周辺においてアカモクやヨレモク、ヤツマタモクなどの大型海藻の繁茂が確認され、年々藻場が拡大する傾向にある。
  • また、以前はワカメが優占した状態であったが、ホンダワラ類などの大型海藻とワカメが混在して見られるようになった。
  • 大型海藻が増加した結果、平成31年度、令和元年度には活動区内にてハタハタの卵が確認されるなど、取り組みを実施したことにより港内の生物多様性保全に効果をもたらしている。

モニタリング地点周辺で繁茂する大型海藻