● 地域の現状・課題
- 酒田港は山形県北西部に位置しており、日本海に面している。
- 山形県沿岸の多くは砂地であり、魚類の産卵場・成育場となる藻場は限られている。
そうした中、酒田港内の人工構造物を基盤として新たな藻場を造成することで、生物多様性の保全を図ることを目的に、平成29年度に漁業者、ダイビングショップ、NPO法人が中心となって活動組織を設立した。
ワカメが優占した酒田港内の藻場
● 活動の内容
- 食害生物の除去:素潜りにより海藻を食害するウニ類や小型巻貝を採取・除去している。
- 母藻の設置:母藻は魚類の産卵基質となるホンダワラ類を利用している。母藻とブイをアンカーに固定して投入し、母藻の流失後にブイとアンカーを回収している。
- 環境学習:水産祭りなどのイベント時にタッチングプールの出展や活動発表を行っているほか、地元高校と連携して海岸地形の変化や漂流・漂着ゴミの調査研究を行っている。
食害生物の除去
母藻の設置
● 活動の効果
- 大浜海岸離岸堤の小型海藻と大型海藻の被度合計は令和3年度は13.5ポイントだったが、令和4年度は20ポイントに増加した。令和5年度は猛暑・高水温の影響を受け10ポイントに減少したが、大型海藻は前年までの被度を維持できている。
- モニタリング地点周辺において、アカモクやヨレモク、ヤツマタモクなどの大型海藻の繫茂が確認され、活動エリア内で年々藻場が拡大する傾向にある。
- 活動初期に比べて多種多様な魚類が見られるようになり、藻場保全活動が生物多様性創出に貢献していると考えられる。
モニタリング地点周辺で繁茂する大型海藻