いわき藻場保全研究会(福島県いわき市)

● 活動項目

藻場の保全

● 組織の構成

漁業者、いわき市漁協(35名)

● 地域の現状・課題

・いわき市は茨城県と接した福島県の東南端に位置し、東側が太平洋に面した町である。 

・地区の海岸線に沿った浅場には、かつて大型海藻のアラメが群生し、アワビやウニ類の漁獲が盛んであった。 

・しかし、近年一部地区でアラメ等の大型海藻が消失し、漁獲にも影響が及んできている。 

・アラメ場の減少は、近年の気候変動など様々な要因によるものであるが、藻場の回復活動の弊害になっているウニ(キタムラサキウニ) の過剰な食圧が喫緊の課題となっている。

増加したウニの状況

● 活動の内容

・磯焼けしたアラメ場の再生を目的に、平成21 年度に会を設立し、モニタリング、ウニの密度管理や母藻の設置、海藻の種苗生産・投入を行っている。 

・ウニの密度管理は潜水作業により行っており、令和5年度は920kg、令和6年度は764kgを採取し、海藻類の残る浅場や沖合に移植した。 

・母藻設置は、成熟したアラメ葉上部を半日ほど陰干し、スポアバッグに収容して海中に投入した。 

・種苗投入は種苗を付着させ中間育成した種糸を30~40mのロープに巻き付け、潜水作業により海底に固定した。

母藻の設置

種苗ロープの作成

● 活動の効果

・ウニの密度管理等により、対象生物量(アラメ)の増加傾向がわずかに見られており、活動の効果が現れつつある。 

・しかし、近年の海水温上昇の影響や新たな食害生物の出現等により、効果が得られていない区域も存在する。 

・近年の高水温下でも消失しない藻場の造成が今後の課題であり、その解決に向けた手法の検討を進めている。

ウニの除去

採取したウニ