北浦地区活動組織(茨城県行方市)

● 活動項目

ヨシ帯の保全

● 組織の構成

漁業者、地域住民(14名)

● 地域の現状・課題

  • 北浦(36km)は霞ヶ浦、外浪逆浦などを含めると 220km2の面積を有する全国第2位の湖であり、ワカサギ、シラウオ、ハゼ類、エビ類等の水産資源に恵まれていることから、古くから漁業が盛んで、また網生簀を用いた小割式養殖業、淡水真珠養殖も行われており、豊富な漁獲物から佃煮や煮干しなどを製造する水産加工業も発展し、国内有数の水産業が盛んな地域である。
  • 北浦の湖岸には、かつて広大なヨシ帯が広がっていたが、高度成長期の開発事業等による埋め立てや護岸化によってヨシ帯を含む湖岸の植生帯が大幅に消失した。これらにより水質浄化機能の低下、生息魚類の減少などが顕著となった。
  • 現在でも、残存するヨシやその後の自然再生事業等で造成したヨシが冬季の波浪(返し波)等による湖岸の浸食で流出し、群落の面積が減少、またゴミの不法投棄などの問題が生じている。
  • ヨシの群落は、魚介類等水生生物の生息場や育成場、産卵場など重要な機能を有し、また湖内の水質浄化にも寄与しており、豊かな北浦の自然と生態系の維持保全を目指すためにもヨシ群落の保全は霞ヶ浦北浦全体の喫緊の課題となっている。
  • 北浦地区活動組織は北浦北西部に位置する主に3つの箇所(三和地区、山田地区、繁昌地区)のヨシ帯の保全活動を継続している。

活動を行っている地域

● 活動の内容

  • 行方市地先の北浦に存するヨシ帯の維持・回復を図ることを目的として、ヨシの再生産を促すため有効である刈り取り作業を、ヨシが立ち枯れする冬季に行っている。刈り取ったヨシは堆肥化し有効に利用する。またヨシ帯の管理が行き届かないと不法投棄やプラスチック類の浮遊ゴミの漂着・沈積などの環境汚染につながるため一帯の清掃活動も行い、ヨシ帯内に堆積するゴミをヨシの刈り取り作業と併せて回収し処分する。
  • ヨシ帯のモニタリングとしてヨシの生育、繁殖状況を確認し、生息魚介類の動向を目視する。
  • 北浦は護岸が整備され、遊歩道やサイクリング路も整備されており湖への接近は比較的容易である。しかし湖岸から急深となり、危険な箇所が多い。ヨシ刈りは胴長、草刈り機などを用い、刈り取ったヨシの切っ先が鋭利で細心の注意が必要なため、取り扱いに慣れた専従者(漁業者)による取り組みを中心とする。
  • 北浦は長大な海跡湖であり、周囲は4つの市(鉾田市、行方市、潮来市、鹿嶋市)に囲まれている。組織は4つの地区に区分(北浦、大洋、大野、大和)され、それぞれのヨシ帯の保全活動を行うことを活動方針としている。

ヨシの刈り取り作業

ヨシの刈り取り作業

ヨシの刈り取り作業

ヨシの刈り取り作業

● 活動の効果

  • 立ち枯れたヨシを継続して冬季に刈り取ることで、翌年芽吹くヨシの生長(生育)を促進させている。令和3、4年度共に被度は8割を超えており、ヨシ群落の維持が図られている。
  • 活動当初は大量のゴミがヨシ帯内に不法投棄されていることもあったが、毎年実施しているヨシの刈り取りとゴミの回収によって湖岸がきれいになり、ヨシ帯内への大量の不法投棄が減りつつあるといった本活動による副次的効果も得られている。
  • R2年度に引き続き、保全活動を行っているため今年度もヨシが良く茂っており、ヨシの量に変化がなかった。