● 地域の現状・課題
- 大和地区活動組織は、日本で2番目に広い湖「霞ヶ浦(西浦・北浦・鰐川・常陸利根川等の総称)」の北浦の西側で主に活動を行う組織。
- 北浦の湖岸には、かつて広大なヨシ帯が広がっていた。しかし、高度成長期の開発事業等による埋立や護岸化によってヨシ帯を含む湖岸の植生帯が大幅に消失した。
- また、現在は、残存するヨシや、その後の自然再生事業等で造成したヨシが冬季の波浪等による湖岸の浸食で流出し、群落の面積が減少するなどの問題が生じている。
- 抽水植物であるヨシの群落は、魚介類等の水生生物の生息場や育成場、産卵場など重要な機能を有している。また、湖内の水質浄化や湖岸の保護にも寄与しており、その保全は、喫緊の課題となっている。
● 活動の内容
- 北浦の西側の湖岸に造成、また残存する貴重なヨシ帯を保全し、湖の水生生物の生産力の向上と水質保全を図ることを目的に、地区の漁業者が主体となって「大和地区活動組織」を設立した。活動の内容は、以下のとおりである。
- ヨシの発芽を促進し、健全なヨシ帯を保全するためにヨシの刈り取りを実施する。刈り取り作業は、ヨシが立ち枯れする冬季に行う。また、刈り取ったヨシは系外に持ち出し、水質浄化を促す。
- 波浪等によるヨシの流失を防ぐために、消波を兼ねた保護柵を設置・改修する。保護柵は、ヨシ帯の前面に竹を埋め込む方法で設置している。竹は、地元の竹林から許可を得て伐採したものを用いる。
● 活動の効果
- 立ち枯れたヨシ帯を冬季に継続して刈り取ることで、翌年芽吹くヨシの生長(生育)を促進させており、未実施区域のものより茎の太いヨシがすくすくと育っている。
- また、保護柵の設置・改修(維持・管理)を行っている場所のヨシ帯では面積が増加しており、その有効性が確認された。
- 加えて、ヨシの刈り取りによって、湖岸がきれいになり、ゴミの不法投棄等が減るといった副次効果も得ることができた。
- 今後も、対岸でヨシ帯の保全を図る大野地区活動組織と一緒にヨシ帯を保全し、北浦の生物生産力の持続と水質の浄化等を図っていきたいと考える。