● 地域の現状・課題
- 群馬県を流れる渡良瀬川は、北関東を流れる利根川水系最大の支流である。群馬県と栃木県の県境にある皇海山が水源となり、みどり市で関東平野に流れ出し、桐生市の中心を流下している。
- 活動区域は都心から近く、イワナ・ヤマメなどの渓流魚の釣り場として有名であるが、河川整備の弊害や「川は危険」という教育や認識によって、地域住民や子供たちの『川離れ』が進行している。
- 川離れの進行は、地域住民などの環境保全への意識の薄れ、さらには河川荒廃の原因につながる恐れがある。
- こうした問題を解決するために当該組織を結成し、生物や河川環境に関心を持ってもらい、持続可能な内水面生態系の維持・保全・改善を目指すための活動を進めている。
活動区域と皆で作った水生生物の隠れ場下の河川の様子 (隠れ場設置とヤマメ放流後数日後のモニタリングにて)
● 活動の内容
- 生物や河川環境に関心を持ってもらうための活動として、体験交流型のカルチャースクール『Fureaiワークショップ』を開催している。
- ワークショップでは、環境を保全することから、その環境で楽しく安全に遊ぶことまで、一連の流れで学習できるよう、主に以下の8つの活動を組み合わせて実施している。
「環境学習」「水生昆虫採取と観察」「水生昆虫を模した疑似餌(毛針)の作成」「作成した毛針を使った釣り体験」「清掃活動」「魚礁や水生生物の隠れ場づくり」「ヤマメの放流体験」「設置した魚礁等のモニタリング調査」 - また、これらの活動をもって、水産業が担ってきた川の「環境保全」および「地域文化の継承」といった多面的な役割と機能を果たしている。
● 活動の効果
- ワークショップは、座学から体験までを行うことにより、自然の中で遊ぶ大切さを学ぶ良い機会になっており、一般参加者の環境保全の取り組みのきっかけとなる重要な場となっている。
- 魚礁等の設置の取り組みでは、モニタリング調査の結果、水生昆虫に加え、ヤマメの稚魚を確認することができた。ダム湖では、魚礁周辺でワカサギの群れを何度も確認できている。
- 魚礁のモニタリング調査は船で近づき水中カメラで観察しているが、近づく際に音などで魚が逃げてしまうことが課題となっており、今後は、先端技術を活用した水中ドローンも導入し、安全性の確立と調査技術の向上を目指している。
- また、活動の成果をより定量的で客観的に評価できるモニタリング手法を確立することも、大きな課題となっている。