高麗川流域地区活動組織(埼玉県日高市)

● 活動項目

内水面生態系の維持・保全・改善

● 組織の構成

漁業者、埼玉西部漁協、地域活性化委員会(259名)(サポーター:埼玉県水産研究所)

● 地域の現状・課題

  • 高麗川は荒川水系の一級河川で、埼玉県西部の苅場坂峠に源を発し、飯能市、日高市、入間郡毛呂山町を流下し坂戸市で越辺川に合流する。
  • ダムがなく首都圏に接する関東有数の清流であり、都市圏の釣り人などを呼び込める環境にある。また、地元住民にとっては、かけがえのない清流として昔から親しまれている。
  • 川の上流部は石が荒く、友釣向き、中流以降は早瀬、平瀬のウグイ、オイカワ釣りが盛んで、子どもたちにも安心で安全な川として課外活動や川遊び場として利用されている。
  • しかし近年、水量の減少や下流の堰堤によりアユの遡上が安定せず、漁協経営が悪化している。加えて、漁協組合員の高齢化も相まって、河川の生態系や環境の維持・管理に支障が生じている。

● 活動の内容

  • 組織の目標は、川の環境を良好に保全・管理し、地元や周辺市町村、都市部の釣り人や観光客(子ども・保護者等)を呼び込み、漁協の活性化並びに地域振興につながる活動を継続すること。

  • 川の環境を良好に保つ活動は、①環境をきれいにする河川清掃、②健全な藻類や水生昆虫の繁殖を促進する河床耕うん、③減少するウナギ、また小魚の棲みか・隠れ場となる石倉づくりを行う。
  • 市民等の呼び込みは、市が取り組む川ガキ事業と協働で体験学習会を行う。組織では、県の水産研究所の研究員と一緒に川の座学とウグイ放流体験を行う。また、川ガキ事業で行う底生生物モニタリング調査にも参加する。

● 活動の効果

  • 河床耕うん区域では、定点調査で水生昆虫が総じて増加しており、大きな効果が得られている。
  • 設置した石倉では、ウナギは確認されていないが、タモロコやギバチ、スナヤツメ、カジカなど数多くの小魚や水生昆虫やエビ・カニ類が出現し、多様な生物の棲みか・隠れ場となっている。
  • 体験学習会は、子どもたちの参加が年々増えている。また、下流部の平瀬では放流体験したウグイや、オイカワ釣りが盛んで、子どもたちが保護者とともに川を楽しんでいる。学習会での体験と相まって、川の保全の啓蒙につながればと思う。
  • こうした組織の取り組みが、地元新聞で紹介され、広く一般に知られるようになった。今後も活動を継続し、清らかな高麗川を舞台に地域の活性化を図っていきたい。