氷見市水産多面的機能発揮対策協議会(富山県氷見市)

● 活動項目

藻場の保全、種苗放流、海洋汚染等の原因となる漂流、漂着物、堆積物処理、海難救助訓練

● 組織の構成

漁業者、氷見漁協、氷見漁協青年部、氷見鮮魚商組合、氷見水産加工業協同組合、氷見市沿岸小中高等学校、氷見市商工会議所 他(666名)

● 地域の現状・課題

  • 本地区は富山湾の西部に位置し、砂浜域や豊かな藻場を有しており、定置網漁業を中心に、沿岸域において豊かな漁場を形成している。
  • しかし近年は、①食害生物(ウニ)の増加による磯焼け、②台風や大雨による漂流、漂着する堆積物の増加、③魚離れ等による海洋環境への関心の希薄化、④突然の気象変化の増加や漁業者の高齢化等への漁業の安全対策強化、といった問題がある。
  • これらの課題を解決し、今後も豊かな海を守っていくために、「水産多面的機能発揮対策」活動による環境保全活動や教育・学習活動に取り組んでいる。

群れるウニ

ヒラメの稚魚

海岸に打ち上げられた廃材

水産多面的機能発揮対策事業の講習会

● 活動の内容

  • 藻場の保全のため、潜水作業で海底の様子や現状把握をするとともに、食害生物(ウニ)の除去を行っている。
  • 漁業者や沿岸地区の保育園児にも参加してもらい、ヒラメとクロダイの種苗放流を行っている。その体験に併せて座学等を行い、海洋環境の保全の大切さを伝えている。
  • 台風シーズン後には沖に漂流する流木や、海岸に打ち寄せる漂着物(主に流木)を回収し豊かで安全な漁場環境の保全に取り組んでいる。
  • 海難事故の防止のため、漁業者に向けて、海上における危険性や、ライフジャケット着用の重要性について、海難救助講習会により伝えている。

ウニ類の除去作業

魚類の種苗放流

海岸に打ち上げられたゴミの回収

救命胴衣の講習会

● 活動の効果

  • 食害生物(ウニ)の除去を継続して行うことにより、一部で藻の群生が見られるようになった。
  • ヒラメとクロダイの種苗放流は、漁業者や沿岸保育園児にも参加してもらった。種苗放流の際には、海の清掃や藻場の保全による稚魚の育成場の保全についても伝えており、海洋環境の保全の大切さを学習する場となっている。
  • 海岸清掃や氷見沖の島で流木やゴミを回収することで、豊かで安全な漁場環境の維持に貢献している。今後も清掃活動を続けたいと考えている。
  • 海難救助講習会の参加者からは、「安心安全に操業してもらうため自己啓発も込めて意義のある講習会だ」という意見も聞かれ、安全操業の意識が高まっている。

藻場に集まる魚類

放流されるヒラメの稚魚

海底のゴミ除去作業

海難救助の講習会