勝山九頭竜川環境ネットワーク(福井県勝山市)

● 活動項目

内水面生態系の維持・保全・改善

● 組織の構成

漁業者、勝山市漁協、福井県立大学、荒土町ふるさとづくり推進協議会、鹿谷町まちづくり協議会 他(222名)(サポーター:福井県立大学,たかはし河川生物調査事務所)

● 地域の現状・課題

  • 勝山九頭竜川環境ネットワークは、勝山市を流れる九頭竜川の中流域から上流域にかけて活動を行う組織である。
  • 活動を行う河川区域を代表する魚は、アユやアラレガコ(アユカケ)である。
  • アユやアラレガコは、ともに稚仔魚は海で育ち、幼魚となって川を遡上し、成長し、産卵期になると再び川を下る。そのため、河川内に堰などの横断工作物があると、その移動が阻害され、資源量が減少する。
  • こうした影響を軽減するために、堰には魚道が設置されているが、あまり機能しておらず課題となっている。また、最近の異常気象等による豪雨や台風襲来によって、河床への土砂の堆積が著しく、浮き石の減少や藻類の繁殖阻害が生じ、問題となっている。

● 活動の内容

  • 当組織は、九頭竜川に生息するアユやアラレガコの生態状況を把握し、その環境を保全する目的で平成25年度に設立した。また、河川流域の自然環境美化を行うことで、九頭竜川流域の河川環境や景観、また水辺の生物の維持保全を図る。具体的な活動の内容は以下のとおり。
  • モニタリング:アユの生息状況を、解禁前の友釣り調査により把握している。アラレガコについては、サポーターの福井県立大に調査を行ってもらい、状況を報告してもらっている。
  • 河川清掃:毎年2~3回、活動区域の河川区域内で主に人工ゴミを回収する。
  • 教育・学習:地区住民や市内9校の小学5年生児童を対象に、河川の環境や生物に係る出前授業を開催している。

● 活動の効果

  • アユやアラレガコの生息数は、特に前者が現在減少していることが判った(下図参照)。アユの専門家に依頼した詳細な調査においても(2019年調査)、本種の生息密度は0.27尾/㎡で、当河川区域の適正収容尾数の約2割の生息に留まっており、その対策が喫緊の課題となった。
  • 河川区域内のゴミの量については、清掃活動を毎年定期的に行っていることで、その増加は抑えられていると思われる。
  • 教育・学習については、川の生き物の特徴や生活史を教えることで、川の魅力やその自然環境の大切さを学んでもらっており、その理解度は80%以上となっており、今後も引き続き活動を展開していく。