● 地域の現状・課題
内浦湾は駿河湾奥の北東部に位置しており、造礁性サンゴ分布域の北限域とされている。
1990年代初頭には5,000㎡ほどの広さをもったエダミドリイシの大群集が形成されていたが、現在は小群集が点在する状態で、総面積は2.3%ほどに縮小している。
縮小の要因は冬の低水温やガンガゼによる食害、台風などだが、これに加えて冬場には海藻類がサンゴを覆い、成長を妨げている。
海藻に覆われるサンゴ
● 活動の内容
エダミドリイシ群集を保全・回復することを目的に、平成25年度に保全会を設立し、以下の活動を主に実施している。
サンゴの種苗生産として、10mのロープに50片のサンゴを取り付け、これを年間25本(平成28・29年度)設置している。
そして、種苗生産により成長したサンゴを造成地区へ移植している。
また、ガンガゼやサンゴを覆う海藻など、サンゴに害をなす生物は回収し、サンゴの無い周辺の海域に移動している。
サンゴの種苗生産
サンゴの移植
● 活動の効果
エダミドリイシ群集の面積が年々増加しており、活動の効果が現れてきている。
内浦湾のエダミドリイシは生態学的に貴重な砂礫地上に成育する群集である。今後は、この生態を損なわず、周辺環境を極力変化させない構造の移植基盤の開発を進めていく。
潜水作業の人員が種苗生産のメンテナンスにおいて不足している。隣接地のレジャーダイバーの参加など、地域との連携を図る方法を今後検討していく。