● 地域の現状・課題
稲取地区は伊豆半島東岸の中央部に位置しており、相模灘に面している。
かつて、地区の沿岸にはテングサ場が広がり、海女によるテングサ漁業が盛んであった。
しかし、高齢化と後継者不足から海女が減少し、テングサ場の管理が行き届かずに藻場環境に大きな変化が生じつつある。
テングサの生育阻害要因としては、競合海藻が挙げられ、これら競合する海藻への対策が求められている。

テングサ以外の海藻が繁茂する海底
● 活動の内容
テングサ場の回復・保全のため、平成28年度に組織を設立し、岩盤清掃を主に行っている。
- なお、組織の目的は、かつての藻場の管理を漁業者のみで行うのではなく、ダイビングショップなどとも連携・協力し、組織的にテングサ場の保全を図ることである。
岩盤清掃はダイバーにより行い、鎌とスクレイパーで岩表面のテングサと競合する雑海藻を除去している。

雑海藻の除去

モニタリング

除去前

除去後
● 活動の効果
テングサの着生量は、活動前に比べて増加傾向にあり、活動の成果が現れてきた。
地元ダイビングショップとの協力体制が確立され、ダイバーにとっても日常潜水できない場所で潜る良い機会となっている。
テングサ場の海底基盤は転石やゴロタ石のため、台風などで海底状況が変化する可能性があり、今後も継続的にモニタリングを行う必要がある。
藻場、特にテングサ場の保全は永続的に活動を行う必要があり、活動の効率化を図りながら、今後もかつてのテングサ場の復活を目指し、活動を展開していく。

岩盤清掃によって増加したテングサ

刈り取り調査によるテングサ着生量の変化