● 地域の現状・課題
・菅島地区は、鳥羽市の中心部から直線距離で東に約3㎞にあり、三重県の中央部、伊勢湾の湾口部に位置している。
・かつては、島の沿岸全域でアラメやガラモ場が多くみられ、豊かな海域環境にあった。しかし、十数年前より島の北部から西部側にかけて(菅島沿岸のおよそ半分)藻場が、磯焼けにより衰退した。この藻場の衰退により、周辺漁業への影響や海域環境の悪化が危惧され、その衰退を食い止めるべく、活動を開始した。
菅島周辺の藻場区域イメージと再生区域
● 活動の内容
・組織は磯焼けした藻場の再生を目的に、平成22年度に設立した。
・活動の目標は、豊かな藻場を再生し、再生した環境を次世代へと繋げていくこととした。また、こうした自然を守る地域住民の心を次世代に継承することも目標とした。
・活動は、藻場再生区域として島の北西部に20×100mの範囲を設定し、その中でまず核となる藻場をつくる取り組みを行うことにした。
・藻場をつくる取り組みとしては、種苗投入とその効果を確認するモニタリングを中心に行っている。
・加えて、環境学習として、小学生に向けた種苗の投入体験を行っている。
種苗作成体験
モニタリング
● 活動の効果
・現在、保護区域内では、藻場が、全体(2000㎡)の約10%(200㎡)程度回復した。
・藻場面積としては、あまり大きな回復に至っていないが、漁業者からは定置網で採れる魚が増加したという声もあがっている。
・漁業者以外の若い地域住民(主に20代)も活動に多く参加した。また、菅島小学校の全校生徒を対象とした環境学習や種苗の作成・投入などの体験学習によって、活動の有用性が認知されてきた。
・今後は、藻場回復技術の向上も不可欠であるが、魚類による食害や採石場からの浮泥の流出といった藻場衰退の問題の解決も視野に入れ、活動を展開していく予定としている。
種苗の移殖状況
種苗投入体験