● 地域の現状・課題
- 早田地区は、三重県南部の尾鷲市にあり、尾鷲湾と賀田湾の間に位置する早田浦の湾奥にある。
- 1999年度時点で、三重大学の研究調査により早田浦で磯焼けが確認された。磯焼けした海域ではガンガゼ類が多く生息しており、磯焼けが進行したことにより藻場の保全が求められた。
- そこで、2009年度に活動組織を結成し、藻場の維持・回復を図る活動を開始した。
磯焼け状態の海底
● 活動の内容
主な活動:ガンガゼ類の除去
- 当組織では、ガンガゼ類の除去活動や藻場のモニタリングを継続的に行い、ガンガゼ類の密度を低く保つことで藻場の回復を図り、海域環境の再生を目指している。
- ガンガゼ類の除去は3区域で行っている。2010年から2012年までは年3~4回の除去活動が行われていたが、2013年以降は海藻被度が回復してきたこともあり、除去活動を年2回に減らして継続している。
- 漁業者による船上からのガンガゼ類除去に加え、三重大学の学生や漁業者等がダイビングによる除去を行っている。ダイビングによる除去活動では、ガンガゼ類除去のために作成した専用のステンレス製の除去棒を使用してガンガゼ類を1つ1つ潰して除去している。
ガンガゼ類除去の様子
● 活動の効果
- ガンガゼ類の密度の低下とともに、藻場被度の増加が確認されている。調査開始時の2009年ではガンガゼ類密度は1 m2当たり9個体であり、海藻の生育は認められない典型的な磯焼け海域であった。活動の結果、2013年以降、ガンガゼ類の密度は1 m2当たり1個体未満となり、藻場被度の増加が確認され藻場の回復傾向がみられ、海藻にアオリイカの卵が産み付けられる様子も確認された。
- その後、ガンガゼ類の密度は低く維持されているが、2016年頃からムラサキウニやナガウニ類が増加して海藻被度も減少傾向を示し始めたことから、今後はこれらウニ類の除去も実施していく必要がある。
再生した藻場の様子
ウニ類の個体密度および海藻被度の推移