銚子川環境保全会(三重県紀北町)

● 活動項目

内水面生態系の維持・保全・改善 他

● 組織の構成

漁業者、銚子川漁協、赤羽川漁協、NPO法人ふるさと企画舎、電源開発(株)、便ノ山自治会 他(216名)

● 地域の現状・課題

  • 銚子川は、本州で年間降水量が最も多い大台ヶ原を水源とし、三重県南部の紀北町を流れ、熊野灘へと注ぐ2級河川である。
  • 川のほとんどは山間部を流れ、源流部から河口までの高低差は約1,000mと急勾配。また、流域には集落が少ないため、水質汚染が極めて少なく、全国有数の透明度を誇る清流として広く知られる。
  • 全国有数の清流であることから、川にはアユ釣り等の遊漁者や川遊び目的の家族連れが大勢訪れる。その反面、現在、ゴミ問題などが顕在化している。
  • また、流域のほとんどが山林に囲まれており、台風や大雨の後には流木の堆積、加えて土砂の堆積による河床の上昇(渇水時に瀬切れの原因にもなる)が散見され、課題となっている。

● 活動の内容

  • 当会は、漁協及びその組合員が中心となり平成25年度に設立した。
  • 会の目標は、山林の樹木を守り、河川環境を維持保全し、奇跡の清流「銚子川」を守り、後世に繋げることである。
  • 主な取組は、課題となっている一般ゴミや流木の撤去、また川を訪れる人たちの河川環境保全に係る啓発活動、そして植樹である。
  • 河川区域から一般ゴミを回収する活動は、キャンプ場を利用する家族や地域住民などを交えて、100名程度で一斉に実施する。
  • 流木の撤去は、洪水後など適宜実施ししている。
  • 植樹は、流域の山林にモミジ等の広葉樹を植えている。
  • この他にも、ニホンウナギを河川環境の指標種とした標識放流を実施している。

● 活動の効果

  • 一般ゴミの清掃や流木の撤去の活動を通じて、近年問題となっていた河川環境や景観の維持保全が継続的に図られるようになった。また、清掃活動には、キャンプ場に訪れる家族や、地元の子ども会や流域の自治会等も参加するようになっており、多様な人を巻き込んだ活動が展開できるようになってきている。
  • 銚子川流域は、かつて林業が盛んであったが、現在、衰退している。地区では、古くから流域の山や木を大切にすることが川を守ることに通じると考えられている。こうした考え方が、植樹を通じて継承されることから、今後も引き続き活動を展開したい。
  • なお、ウナギの標識放流では、川の中流域で放流ウナギと天然ウナギがともに生息していることが確認できたことから、本種の将来の増殖が期待される。