明石地区明石浦防人会(兵庫県明石市)

● 活動項目

干潟等の保全

● 組織の構成

漁業者、明石浦漁協(264名)

● 地域の現状・課題

・当地域は、兵庫県明石市の東端に位置し、眼下には明石海峡が広がり、前方には淡路島、東に大阪湾、西に播磨灘を望んでいる。最速で7.5 ノット(時速約14 ㎞)にもなる明石海峡の潮流によってつくり出された複雑な海底地形は、日本有数の豊かな漁場となっており、全国的に知名度の高い「明石鯛」や「明石ダコ」のほか、四季折々に様々な魚介類が水揚げされている。

・当地域では、小型底曳網漁業、一本釣り漁業、船曳網漁業等の漁船漁業とノリ養殖漁業が営まれている。

・漁船漁業により漁獲される魚種はマダコが最も多く、次いで、マダイ、シラス、となっており、流通する魚の種類は70 種類を超える。

・しかし、近年はマダコや貝類等の海底に生息する生物の漁獲量が減少傾向にあり、海底の硬化やヘドロ化等の底質の悪化が問題となっている。こういった問題を解消するためには、海底にある窒素やリン等の栄養塩を海中に溶出し、栄養塩豊かな海を目指す必要がある。

耕うんに使用する桁

耕うんする場所に向けて出港する様子

● 活動の内容

・漁船に鉄製のケタを付け海底を「耕うん」することで、海底に溜まった窒素やリン等の栄養塩を海中に溶出し、魚類やタコの餌料となる底生生物の増加を促すのを目的に活動を行っている。

・モニタリング調査では、底生生物の調査を行い、底生生物の種類数・個体数・湿重量の変化について記録、検討している。

耕うんの様子

耕うん区の砂質

● 活動の効果

・マダコの漁獲量は、ここ数年減少傾向であることから、マダコの餌となる貝等が成長するには、時間がかかると思われる。

・令和元年度の活動から行っている底生生物の調査の結果、令和2年10月の底生生物出現量は、前年度と比べ出現種数、個体数、湿重量のすべてで増加していることから、海底耕耘の効果が表れていると考えられる。

・今後も海底耕耘を行っていくことで、さらなる底質改善を行い、漁場環境の改善を行っていくことが重要であると考える。

マダコの漁獲量推移

令和2年度モニタリング結果