● 地域の現状・課題
- 由良地区は淡路島東部に位置しており、大阪湾と紀伊水道をつなぐ紀淡海峡(友ヶ島水道)に面している。
- 当地区の地形は、昔から多くの魚介類の産卵場や成育場となっており、150種類もの魚介類が水揚げされる豊かな漁場が形成されてきた。
- しかし近年、様々な要因により水産資源は減少しており、産卵場や成育場として機能してきた浅海域の底質は硬く締まり、その機能が失われつつある。
- 一方、テレビ番組などでは淡路島の食材が取り上げられる機会が増加しており、魚食文化伝承の重要性が高まってきている。
活動海域
● 活動の内容
- 浅海域の環境を改善し、水産資源の維持・回復を図ることを目的に、海底耕うんや海岸清掃を実施している。
- 海底耕うんは8~9月に3回程度行っており、鋼製の桁を船で曳く方法で硬くなった海底を耕うんしている。
- 海岸清掃は9~11月頃に1~2回実施しており、1回当たり軽トラック3~10台分のゴミを回収している。
- その他にも、地元産の魚介類を使って食文化などの伝承を推進しており、中学校を対象とした料理教室を開催している。
- モニタリングは海底耕うん区と対照区において、潜水目視観察と採泥器による底生生物の採取を実施している。
海底耕うんと使用した桁
活動により除去したゴミと料理教室の様子
● 活動の効果
- 底生生物量(個体数)は増加傾向にあり、年々増加していた。
- 底生生物量の増加のみでなく、耕うん区では良好な底質環境の指標となるナメクジウオが出現しており、活動の効果が表れているものと考えられた。
- 今後も活動を継続して海域環境の保全・回復を図るとともに、文化伝承を推進したい。
底生生物量(個体数)の推移
モニタリングで採取したナメクジウオ