● 地域の現状・課題
- 矢田川は、標高1,332mの赤倉山を源とし、香美町を流れ、日本海に注ぐ全長34.7kmの二級河川である。
- 川を代表する生き物は「アユ」で、古くから住民に親しまれている。
- 近年、治水や利水のための横断工作物の設置やカワウ等の問題で、アユの天然遡上が減少しており、課題となっている。
- 一方、地域住民の価値観の多様化によって人と川との関わり方が変容している。また、最近、異常気象による水害が増加しており、地域一体となった減災対策が必要で、河川環境やその保全・管理に関する住民の理解と協力が求められている。
● 活動の内容
- 当該組織では、①矢田川の生態系・環境の保全、②河川環境やその保全に係る住民の理解を深めることを目的に、以下の活動を展開する。
- 矢田川の生態系・環境保全では、清掃活動と生物モニタリングを実施している。
- 河川環境等に係る住民の理解については、地域住民や小学生を対象に、川の生物の勉強会や矢田川まつりでのパネル展示、環境作文の発表会などを開催している。
● 活動の効果
- 生物モニタリング調査では、魚類はアユが減少しているものの、全体では個体数が増加。水生昆虫は、トビケラ、カワゲラ、カゲロウ、ヘビトンボなどきれいな水に生息する種が多く、河川の生態系・環境は維持されていると考える。
- また、河川清掃によって、地域住民の河川美化に対する意識が高まっており、企業協力による立木伐採等が行われるなど活動の幅が広がっている。
- 地域住民等の河川環境や保全への理解は、学習会後のアンケートや環境作文等から、その深化が図れている。
- 現在、魚道整備や床固めの改修など、河川環境の改善が県や市の協力で進められている。また、地元高校生がアユの種苗生産に独自に取り組むなど、矢田川の生態系・環境の保全の気運が高まっている。今後も、地域住民や他団体等との連携を深め、地域一体となって河川環境の保全やその管理を図っていきたい。