● 地域の現状・課題
- 百石地区は青森県南東部に位置し、太平洋に面しており、前沖の砂浜域では、冬から春にかけて、ウバガイ(ホッキガイ)漁を行っているが、近年、ウバガイの生息数が減少傾向にあり、全体の漁獲量に影響を及ぼしている。
- 以前はマンガンと呼ばれる漁具で砂を掘りながらウバガイを漁獲していたが、近年は、ポンプで表面の砂を飛ばして漁獲する噴流式マンガンでの漁獲に切り換えたことにより、底質に変化が見られるようになっており、これがウバガイの生息に影響を及ぼしている可能性がある。
- また、最近では、ウバガイなどの二枚貝と生息場所が競合するカシパン類の分布も増加しており、その影響も懸念される。
- ウバガイなどの資源回復を目指し、海域の保全活動を実施することにした。

噴流式マンガンによるウバガイ(ホッキガイ)漁の操業風景

活動区域のおけるカシパン類の生息状況
● 活動の内容
- 主な取組は海底耕うんで、前沖の水深10ⅿ以浅の49㏊(4,900m×100m)の活動面積において実施している。
- 海底耕うんは、普段、ウバガイを漁獲するのに使用している噴流式マンガンを用い、船で曳航して行っている。
- モニタリングは、ちりとり型採取器を用いて0.2m×2ⅿの範囲に生息するウバガイなどの底生動物を採取し、個体数及び重量を測定し、生息密度を調査している。

ちりとり型採取器

モニタリング調査の状況
● 活動の効果
- 海底耕うんは、令和3~5年度において、6~7月にかけて8~10日間実施しており、延べ参加人数は138~150人であった。
- モニタリング調査の結果、ウバガイの生息密度は、令和3年度には生息が確認されなかった定点が10定点中5定点で半分確認されるなど、生息密度は平均1.8個体/㎡に留まったが、令和4年度にはすべての定点で生息が確認され、生息密度は平均6.3個体/㎡に増加、令和5年度には生息密度が7.5個体/㎡まで増加しており、耕うんにより、ウバガイの生息環境が改善され、生息数が増加しているものと考えられる。
- 今後も活動を継続して、ウバガイの生息環境の改善に努め、資源の維持・増大を図ることとしている。

モニタリング定点におけるウバガイの生息密度

モニタリング調査による採取生物