● 地域の現状・課題
・中山地区は鳥取県西部に位置し、霊峰大山のすそ野に広がる海岸線を主な漁場としている。漁場の多くは大型の転石で覆われ、標高1729mの大山の恵である伏流水が海底の各所で湧き出している。
・戦前より素潜り漁が盛んで、中山地区は県下でも有数のサザエ・アワビの生産地である。特にアワビについては県下1の生産量を誇る。
・ところが近年の温暖化により海が様変わりし、平成23年には大きく水揚量が落ち込み、磯枯れ対策は早急な対応を要した。
・平成25年には自主的にアカモク・クロメ・ノコギリモクなど3種の種苗を投入し、アカモクについては爆発的な増殖に成功した。
特産品のアワビ
● 活動の内容
・当該地区では、活動当初はウニの食害や小型の魚の食害などは少なく藻場が減少する磯焼けの被害が重大であったが、ウニ駆除とアラメプレートの設置も同時に行うこととした。
活動を行っている漁業者
食害生物の除去
船上へ回収されたウニ類
アラメプレートの設置
● 活動の効果
・アラメプレートを毎年設置するが、台風や低気圧で成長途中のアラメはちぎれ飛ぶことが多く効果を実感することなく数年が過ぎた。
・事業開始から4年経過した平成29年頃からアラメの群生を確認できるようになりやっと効果を実感できるようになった。
・ウニ駆除については、実施回数が繁殖力に追い付かず大きな効果は実感できていないが、アラメの繁殖がそれをカバーしている。
・磯焼けが拡大するスピードは速く、回復には数倍の時間が掛かることが体感できた。藻場増殖の成果の他に生産者がそれを体験でき、意識の変化が起きたことは大きな収穫だった。
繁茂するアラメ