江川流域保全協議会活動組織(島根県江津市・邑南町・美郷町)

● 活動項目

ヨシ帯の保全

● 組織の構成

漁業者、江川漁協、地域住民(235名)

● 地域の現状・課題

  • 江の川は、その源を広島県山県郡北広島町阿佐山に発し、多くの小支川と合流しながら、江津市で日本海に注ぐ、幹川流路延長194km,流域面積3,900km2の一級河川で、中国地方最大の河川から、「中国太郎」とも呼ばれている。
  • 活動の主体の江川漁協は、江津市、川本町、美郷町、邑南町を漁協区域とし、組合員800名の漁協である。漁業権魚種は、アユ、ヤマメ、ウナギ、モクズガニ等で、中でもアユについては、漁協自営のアユ種苗生産施設を整備し、年間10トンの種苗放流を行っている。また、アユやモクズガニなどの販売事業も行っている。
  • 天然遡上アユの資源回復事業や鮭の放流事業など、江川漁協(島根)、江の川漁協(広島)が連携して活動しており、水産多面的機能発揮対策においても、上流・下流の活動組織が活発な取り組みをしている。
  • 活動区域は日本海に接する江の川の下流域で、海との繋がりが深く、特にアユについては、海域の環境状況が稚魚の遡上に大きな影響を与えており、近年の温暖化による海水温の上昇が問題となっている。アユ天然資源の安定的な確保が大きな課題であり、活動主体の江川漁協においては、産卵場造成や人工種苗生産での親魚選び、ふ化時期の調整などの対策に取組んでいる。

活動を行っている地域

● 活動の内容

  • 河川敷に繁茂したヨシの刈り取りを28年度から実施している。
  • 刈り取り作業の参加者は、例年100~150人で、漁業者以外の参加者は全体の40~60%である。
  • 構成員による定点の投網により、モニタリング調査を実施している。

ヨシの刈り取り作業

ヨシの刈り取り作業

投網によるモニタリング

● 活動の効果

  • モニタリングで確認されたアユの個体数は、豪雨出水の影響による変動はあるが、増加傾向にある。
  • 江川漁協は、管轄区域が4市町にまたがり、管理区域も広いため、河川環境の保全などの取り組みでは、関係者が連携して進めるための課題があったが、水産多面的機能発揮対策事業を通じて、地域が一体となった活動が展開できるようになった。
  • 河川環境保全活動(除草、ゴミ清掃など)は、小単位の自治会組織のボランティア活動に依存していたが、本事業においては、各自治会との連携、コミュニケーションが図られるようになった。
  • 事業予算、作業人役の関係で、全域を対象とできないため、アユ産卵場、市民交流場、アユ釣り場などの整備を目的に選定し、事業成果が分かるよう工夫しており、それぞれ関係者から評価を得ている。
  • 江川漁協においても、カワウによるアユなどの食害に困っているが、アユ産卵場付近では、ヨシ刈による被害軽減の効果が現れている。(視野の展開による監視や防除作業の改善など)
  • ヨシ刈りにより、増水時に河原や水際の掘り起こしがあり、河床流動が改善されている。