江の川かっぱ道場(広島県三次市・安芸高田市)

● 活動項目

内水面生態系の維持・保全・改善 他

● 組織の構成

漁業者、江の川漁協、三次鵜会伝統文化振興会、NPO法人みよし子育て学び支援あすなろ、NPO法人江の川鮭の会、地域住民(71名)

● 地域の現状・課題

・江の川は、広島県北広島町の阿佐山を源として、島根県江津市を流れ日本海へ注ぐ、幹川流路延長194kmの中国地方最大級の一級河川である。

・当該組織が取り組みを行うエリアは、広島県三次市及び安芸高田市の上流域50kmである。

・江の川は、アユを初め、コイ、フナ、ギギ、ウナギなど淡水魚を対象とした漁業が盛んで、専業漁師も多くいた。また、450年の歴史をもつ「三次の鵜飼」が夏季に開催され、地域全体が川の恵みを受け生活を営んできた。

・現在、全国的に川離れが深刻化している。この江の川でも、流域住民の川への関心が希薄化してきており、その対策が求められている。

平成25年度に実施した河床石磨き

● 活動の内容

・かつて川と人とが密接につながっていた「里川」復活を目指して、漁業者主体で当該組織を平成25年度に結成した。また、川に係わる団体や流域の市民団体と連携して取り組みを進めることにした。

・現在の取り組みは河川清掃とサケの種苗放流である。河川清掃は、草木の刈り取りなど親水性を確保することを主目的に実施している。

・サケ種苗の放流は、下流に整備された二つの発電ダム以前の昭和初頃まで数百のサケの漁獲があった。ダム整備後は衰退したが、今も島根県にある支川の濁川ではサケが遡上し産卵しており、その復活をシンボルに放流体験も兼ねて実施している。

河川清掃(草刈り)

河川清掃(清掃後)

種苗放流(放流体験)

種苗放流(放流体験)

● 活動の効果

・江の川水系のサケの種苗放流は、平成7年から開始され、11年には放流場所で初めてサケの遡上が確認された。13年からは、ダムでの遡上モニタリングも始まり、種苗の放流と合わせて、下流のダムの魚道設置改良なども行われ、遡上数は増加傾向にある。平成29年は、23尾の遡上が確認できた。また、漁獲調査では、雌雄のサケによる産卵行動が確認されるなど種苗放流の効果が現れている。

・当該組織の取り組みなど行ったことで、地域の小学校や子ども会などから、放流体験等の活動に対して感謝の作文が寄せられている。地域住民の川への関心が、こうした作文からもまだまだ高いと読みとれ、今後も活動を継続し、川離れの進行を食い止めていきたいと考える。

サケの遡上実績(尾)